第17話

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2018/07/30 11:31

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「ん....」




隣に腕を伸ばすけど




人がいる気配はない。




「......あなた?」




まだ眠かったけど




ショボつく目を開けて部屋を見回す。




だけど、あなたの姿はどこにもない。




ベッドから降りてバスルームを覗くと




まだ少し湿った空気が漂ってる。




「......帰ったのか」




部屋に戻れば




散らばってるはずのあなたの服もない。




......そりゃそうか。




みんな、ヤッたら終わり。




あなたは違う、って心のどこかで思ってたのに。




結局、他の女と同じだったって事。




......身体は正直だったのに。




俺が求めるまま応じてくれて




フリでもなんでもなく、感じてた。




キスしても




触れても




繋がっても足りなくて




何度も抱いた。




あんな俺は初めてで、正直戸惑った。




いつもの俺は文字通り、“一回寝たら終わり”。




足りないと思った事もなければ




何度も抱きたいと思った事もない。




なんでこんなにあなたに執着するんだ?




あなたの何が、俺をそうさせる....?




ベッドの縁に座ると




ふと目に入った、テーブルの上の小さな袋。




「......何これ」




昨日は何もなかったはず。




不思議に思って手に取ると




中を覗いて驚いた。




金が入ってる。




......あなただ。




「こんなもん、いらないんだよ.....」




俺が、あなたが欲しくて連れて来たのに。




......やっぱりあなたは違うかも。




こんな事した女は一人もいない。




また会いたい......。




だけど、次いつ会えるかわからない。




会えるかどうかもわからない。




店に行ったって、




会える確証はどこにもないんだ......。




当然だけど、連絡先も知らない。




あなたが、俺が付けた“痕”を見て




俺に会いたい、と思ってくれる事を
願うしかない。




......ホントに、俺はおかしい。





こんな事は初めてで、
どうしたらいいのかわからない。






「......どうしてくれんだよ、っ」








今はいないあなたに当たってる、バカな俺。





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