第20話

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2018/07/30 11:35

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.....忘れたいのに




忘れたくても忘れられない。




だって、CLUB WINGSと切れない限り




ジョングクとも切れない訳で。




そうするとどうしたって考えちゃうでしょ。




考えちゃったら思い出すじゃない。




あの夜の事......。




“痕”も、うっすらだけどまだ残ってるし




鏡を見るたび




胸がドクン、って脈打って。




.....なんだってこんなところに付けたんだろ。




首筋と胸なんて




恋人でもないのに......。




「あなた、タートルネックなんて
珍しいね?笑」


「......うん、寒いからね。笑」




社食のコロッケ定食でサラメシ中。




これが彼氏に付けられたものなら
ノロケちゃうんだけどね。




アヨンにそう言われても
笑って誤魔化すしかない。




「....ね、インソンさんが
もう一人連れて来るって言うんだけど、」




......何それ。




「いいよ別に」


「え、連れて来ていいって事?」


「ううん、連れて来なくていいって事」


「でもあなた、せっかくなんだから
紹介してもらえば?」


「....いいよ。私そういうの苦手だし」


「あなた〜......」


「ごめんね?インソンさんには
上手く断っといて?笑」


「......わかった」




ジョングクを忘れる為には
ありかも知れないけど




なんかそういう気分じゃない。




彼氏、欲しかったはずなんだけどな。




全部ジョングクのせいだ。




ジョングクが私に声掛けて




ジョングクがあんなふうに抱くから......。




......もう、ホントに勘弁して欲しい。




あんなチャラ男嫌だったはずなのに




今の私は




寝ても覚めてもジョングクの事考えてる。




一回抱かれたくらいで




……って、正確には一回じゃないけど




だからってこんなになっちゃうなんて
なんなの......?




「ごちそうさまでした。笑」


「ん、ごちそうさまでした。
今日も美味しかったね?笑」


「うん。私ここのカニクリームコロッケ
大好きなの。笑」


「え、私も!笑」





職場にいる時くらいは忘れたい。





「下のカフェ行こっか?笑」


「うん、そうだね。笑」






セルフサービスの食器を下げて








階下のカフェに向かった。





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