第3話

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2018/07/30 10:57

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飲みかけのお酒がもったいなくて
まだいる私。




あの笑顔からするに
間違いなく年下だろうけど




あのチャラさと生意気さ加減に




時間が経てば経つほどムカついて来た。




さっきブチ切れておけばよかった。




.....なんか悔しい。




「ねえねえ!あなたさっき
ジョングクくんに声掛けられてなかった!?」


「ジョングクくん......?」




すっかり上機嫌なアヨンが飛び付いて来た。




「......誰それ」


「背が高くてイケメンで可愛くてえろい
ジョングクくんだよ!」


「........ああ、」




さっきのチャラ男か。




ジョングク、って言うんだ。




......どうでもいいけど。




「ああ、じゃないよ!
ジョングクくんに声掛けられるなんて
奇跡だよ!」




どんなカリスマですか......。




「.....あんな、女の子をおもちゃとしか
思ってないようなチャラ男、」


「ジョングクくんにだったら
遊ばれてもいい!」


「は」




アヨン、頭大丈夫......?




「ていうかあなた、こんなとこいていいの?
ジョングクくんと、」


「ない」


「え」


「断った」


「なんでもったいなーーいっ!!」




耳がキーーンとするような




お店の大音量にも負けない雄叫び。




「別にもったいなくなんて、」


「もったいないよ!
ジョングクくんから声掛けてくれるなんて
滅多にないんだよ!?」




......へぇ。




「ああ......一度でいいから抱かれてみたい......」


「じゃあアヨンから声掛ければいいじゃん」


「ジョングクくんに選ばれるなんて
天と地がひっくり返っても無理だよー!」


「なんで?声掛けてみなくちゃ
わからないでしょ?」


「.....ジョングクくんは面食いって噂だから、」




......それ、あくまでも噂だね。




だって私、可愛くもなんともないもの。




それに、アヨン綺麗だよ?




「とにかく、私は帰るよ。
アヨンはジョングクくんとやらに頑張って!」


「え、あなたー!」




お酒も飲み終わったし、帰るに限る。




アヨンが猫なで声集団と
同じ部類だと思わなかったけど




本人がそれでいいなら、私はなにも言うまい。





....お店を出る時振り返ってみたら






フロアの中央で踊ってる
ジョングクくんとやらが見えた。







悔しいけど、カッコいいんだよね......。





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