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「……ん、っは、」
カウンターのスツールから降ろされて
腰を引き寄せられると同時に
唇がさらに深く交わっていく。
密着してる腰も熱い……。
「ぁ……んっっ」
……流されたくない。
だけど、嫌じゃないんだもの。
ここに来る前は、この部屋で何かされる事を
警戒してたはずなのに
この建物に入った瞬間
何かのスイッチが切り替わったみたいで
きっと
心のどこかでは期待してたんだと思う。
そう考えたら私も充分変で、よくわからない。
「あなた…っ」
「あ……っ」
すぐ傍のソファに
あっという間に押し倒されると
唇だけじゃなくて
首筋から胸元まで、吸い付かれる。
「や……っぁ、だめ、っ」
………嫌じゃないけど、ダメ。
でもここではイヤ。
矛盾してて、自分でも訳がわからない。
「……っだめ?」
「ん……だめ、っ」
「我慢、出来ない…っ」
「や……っん、」
ジョングクが止まらない。
やっぱり……若いからかな、なんて。
「……一回、楽になりたい、っ」
「…え、あっ……んっ!」
「あとで、じっくり……ちゃんと抱く、から」
「や……っ、ジョングクっ、」
「……もっと、名前呼んで、」
「ん……、っジョングク、」
「あなた……っ」
頭の中が真っ白で
もう何も考えられない。
ジョングクの全てが熱くて
溶かされちゃいそう……。
ドアが開いた気がしたけど
そんな事気にしてる場合じゃない。
波が押し寄せるたび持っていかれそうになって
ジョングクの甘いキスに引き戻される。
何度かそれを繰り返すと
とうとう耐えられなくなって。
自分から腰を押し付ければ
ジョングクも応えてくれて
二人で高みに昇る為に
動きが激しくなっていく。
ちょっと前までの私なら
こんな所でこんな事、有り得なかった。
何が私を変えたのか
私を変えたのはなんなのか。
ひとつだけわかるのは
………ジョングク。
嫌いなタイプなはずだったのに
嫌なヤツだと思ってたのに
いつの間にか、私の心に入って来て
私をこんなにさせるジョングク。
もっともっと、ジョングクが知りたくなった。
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!