第8話

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5,210
2018/07/30 11:10

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元々待ち合わせは9時だったから




あのままのんびり食事して




時間に合わせてカフェを出た。




アヨンの彼は忙しいみたいで




ホントはアヨン、何処かで一緒に食事してから
ここへ来たかったみたいなんだけど




金曜日は会議が入ってるから
時間が取れない、って言われたんだって。




で、直接クラブで
待ち合わせる事になったらしい。




付き合いたてなのにちょっとお気の毒。




「....彼、まだ来てないみたいだな、」


「まだ9時前だからね....」




お店に着くと




開店前にも関わらず、
結構な人が集まってる。




......まあ、週末だしね。




とか思いつつ




アイツの姿を探してる私。




......会いたいからじゃないからね?




会いたくないからだよ?




「.....あ、来た。笑」




アヨンの嬉しそうな声に
ちょっぴりドキっとしたけど




目の前に現れたのは




背が高くて体格のいい、かなりのイケメン。




アヨン、やるなぁ......。




「アヨン、遅くなってごめん。
待たせちゃったかな?」


「ううん、来たばっかりだし
まだ開店前だから大丈夫よ?笑」




元々可愛くて綺麗なアヨンだけど




急に恋する乙女になってて




......めっちゃ可愛い。




この子、こんな顔するのね......。




「初めまして、あなたさんですよね?
ペク・インソンです。よろしく。笑」


「え....あ、パク・あなたです。
よろしく、お願いします、」




急に自己紹介されてびっくりした。




変な人になっちゃったよ。




ていうかこの人、




こういうところで声掛けて
そういう事する人に見えないんだけど......。




人は見かけによらない、って事か。




......あ、チャラ男は例外ね。




「あ、開店したよ?入ろう?笑」


「ん、そうだね。笑」


「ほら、あなたも。笑」


「......うん。笑」




やっぱり気が進まない。




今日は少しだけ付き合ったらすぐ帰ろう。




アイツに会いたくない。




週末来てるとは言ってたけど




今いないとこ見ると
遅い時間からかも知れないし。




さっさと退散するに限る。




カップルと一緒にいる独り身ほど
悲しいものないしね。





うん。そうしよう。






私はそう決意して、








薄暗い店内へと足を踏み入れた。





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