第32話

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2018/08/02 09:11

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「あんな奴放っておいて、
俺と一緒に行こう?笑」


「......アヨンがいるのに、」


「いいよ別に。アヨンなんて。笑」


「....っ」




やっぱりこの人、ただのナンパ目的.....?




「アヨンより、あなたちゃんの方が好み。
なんであの日いなかったの?
いたらあなたちゃんに声掛けてたのに。笑」


「......ひど、」


「普通でしょ?男なんてそんなものだよ。笑」




そんなものかも知れないけど




この人は許せない。




アヨンの気持ちを踏みにじって......。




「ほら、行こうよ?笑」




距離が縮まったインソンさんに、
あっという間に手首を掴まれた。




「離して......っ」


「嫌だって言ったら?笑」


「アヨン、来てるんでしょっ?」


「どうでもいいよ。笑」




......酷い。酷すぎる。




「......やだ、離してよっ、」


「嫌がってる姿もいいね。笑」


「っ」




イヤだ。




この人ホントにイヤだ。最低だ。




「いいから離して......っ!」


「諦めなよ?笑」




もうダメだ、連れて行かれる、




そう思った時




重厚な扉が、内側からゆっくり開いた。




「......おにーさん、しつこいね?」


「ジョングク......!」


「お前....っ」




ジョングクは外に出ると




インソンさんの手を払って




私を自分の後ろに隠すようにする。




「俺のものに手ぇ出すなんて、
おにーさんいい度胸してるね?
出禁確定だけど、いい?」


「何言って、」


「一応常連だから、
これ以上この人に手ぇ出さないって
約束するなら多目に見てやってもいいけど?」


「っ、」


「どうする?」


「......偉そうに、」


「なんか言った?」


「....別に」




インソンさん、どうするんだろ。




ていうか、ジョングク怖い......。




「......行っていいよ。
この間のおねーさん待ってんだろ?」


「......くそっ」




ジョングクにそう言われたインソンさんは




この間と同じようにジョングクを睨むと




建物の角を足早に曲がって行った。




.....よかった。助かった。




「......ジョングク、ありが」


「何やってんの?」


「え」


「許さない、って言ったよね?」




なにそれ......。




「....今のは、あと付けられただけだし、
私は嫌だったのにジョングクがここがいいって
言うから来たのになんでそんな......っ!」


「っ......ごめん、」







......抱き締められてる。









なんで......?





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