~寮~
『アジーム家の恥さらし』
アジーム家は大きいから、その立場を保持したかったのだろう。だから隠された。恥さらしがいるなんて外にバレたら、家には損しか残らなくなる。
適当にキッチンにある卵を取り出す。デュースが持ってきたのかな…卵好きそうだし←
卵を割り、冷蔵庫の端にこっそりしまっておいた冷凍ご飯を魔法で解凍する。そろそろ何を作るか分かった人もいるんじゃない?
ケチャップを適当にかけようとすると、不意に横から褐色の手が表れてケチャップを持ってくる。
ハーツラビュルに褐色の人は居なかったはずだ。何より今は授業中、誰だ?恐る恐る振り向くと、そこには笑顔でこちらを向く…兄がいた。
いきなりの事で頭が回転しない。どうして此処に居る?授業中じゃないのか?第一に従者は?
えっと…馬鹿?←
従者を置いたまま抜け出すやついるか?こいつ一応、いつかは家の当主になるやつだぞ?
こちらを向き手を振りながら、去っていくカリム・アルアジーム。こんなに疲れるとはな…従者凄い。
ちなみに、俺が作った目の前にあるオムライスには、ケチャップで『カリム』と書いてある。本当に何なんだ…
スプーンで『カリム』と書いたケチャップを、全体にのばす。こんなの要らない。余計な物書きやがって、本当に家族なんて必要ない。ろくでもない物だ
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!