あずさは教室に入るなり、私の元へ来た。
笑顔で顔を合わせると、私は席に着いた。
さっき、健人に告白された私。
あの表情……嘘じゃなかった。
席も隣だし、どう反応すればいいの……??
宿題を取りに席に健人がくる。
ドキン、と胸の鼓動が早くなり、
私は咄嗟にそっぽを向く。
っ!!
私は、ゆっくりとあずさの方を向いた。
そして、隣の健人と目が合う。
あずさが不思議そうな顔をして、私たちを見比べた。
ま、まずい!!!
私が発しないことを悟り、笑顔で挨拶する健人。
庇って、隠してくれたんだ………………。
やっぱり、健人は優しい……。
そのまま、健人は男子の元へ行った。
それから、一日はとてつもなく長いものだった。
いつもなら楽しく会話していたのに、今日は目すら合わない。
気まづいし、つまらない…………。
私は教室に居たくなくて、3時間目はズル休みし、またあの美術室に向かった。
ぼそ、っと呟いた私。
いままでそんなことおもったことないのに。
私はいつも通り、鏡にキスをした。
鏡から飛び出すなり、また飛びつきに来た風磨。
でも、1歩前で止まった。
私は、風磨の顔を見つめた。
私の様子に、気づいてくれるんだ……。
心の中が、温まった気がした。
風磨に、思い切り甘えよう、と私は体を預けた。
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!