いやいやいやいや、ちょっと、美少年現れちゃった………………。
私は思わず、目の前の少年を見つめた。
サラサラな茶髪に、切れ長だけど優しそうな茶色の瞳。
背は高めでスタイル抜群。
まさに、漫画に出てくるイケメン男子だ。
風磨、と名乗った少年はふわりと微笑んだ。
優しそうな表情に、思わず見とれてしまう。
かっこいい……。
そう伝えようとした時、ちょうど合唱部がパート練習をするために美術室の前を通り掛かった。
そうか、今は部活の時間なんだ。
私は、高校で部活をやっていない。昔、苦い思い出があるから…………。
改めて名前を言おうと口を開きかけた時、風磨が近づいてきた。
ぎゅっ
顔に熱が集中するのが分かる。
ふ、風磨に抱きしめられた……??
風磨はそう言うと、魅力的な笑みを浮かべて私の頬にキスをした。
ちょ、ゆ、夢!?!?
ドキドキして、胸の鼓動が鳴り止まない。
風磨は満足げに笑うと、鏡に吸い込まれて行った。
私は力の限り叫んだ。
顔が真っ赤なのは、知らないふり。
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。