次の日。
半分夢心地で教室に入り、席に着く。
席に着くなり、健人が声をかける。
いつも変化に気づいてくれて、ほんとに良い友達だな……。
健人はクラスのムードメーカーだが、芯がしっかりしていて皆から信頼されている。
だからこそ、友達が多くて好かれているのだ。
私は心の底から微笑んだ。
健人は私の親友だなぁ。
そう、のんきに考えていた。
その時、健人が浮かない顔をした。
急にパタリと喋らなくなった健人。
石のように固まっている。
どうか、したのかな?
健人は私の顔を見た。
周りの音が聞こえなくなる。
サアッ………………。
私たちの間を風がすり抜けていく。
私たち、友達じゃなかったの……?
でも、次に健人から出てきた言葉は耳を疑うものだった。
どきん。
私の胸の鼓動が早くなった。
今、なんて……??
あの健人が、私を好き………………………………?
健人はそういうと、私の頭をポンッと撫でてその場を立ち去った。
私は、立ち尽くすしかなかった。
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!