〔あなた〕
今日はあれ程としみつさんに会えると喜んだイベントだ。なのに、心はもやもや。としみつさんと会えるのは嬉しいけど会いたいのがバレたらどうしようとか、としみつさんは別に会いたくないのかもしれないとか。色んなことを考えてしまう。
会って話したらあの人はどんな顔をするんだろう。なにか言葉を返してくれるかな。実は考えてたなんて見透かされるかな。私は思い悩んだままステージへと向かった。
〔としみつ〕
今日はYTFF。ミュージシャン枠でfoundneesが出るらしい。あなたちゃんにまた会えるなんてとっても嬉しかった。だけどきっとあの子は俺の事なんて忘れているだろう。きっと無数の星の中のひとつみたいな、あ、なんかしら知り合いだ〜くらいの感覚で、彼女の人生に大きな関わりが無いただのYouTuberだ。
でも、それじゃ満足出来ない俺がいる。好きになれば相手にも好意を寄せる相手がいたり、相手に相当酷いことをされない限り、そうすぐに嫌いになれなんて、難しい。俺はまだあの子の事を知らないことばっかりで、知りたい、愛し合いたい、思いは溢れている。
どうかひとつの星でいいから、あの子の人生のひとつの輝きになりたい。
一等星じゃなくていい。銀河に包まれて、もう抜け出せないみたいだ。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。