〔あなた〕
私がお風呂を上がるととしみつがすぐお風呂に入った。鼻歌が上手くてつい聞いてしまう。あ、歌詞でも書こうかな。ノートとペンを出し窓際に行く。今日はなにか言葉が出そうだ。
そうこう書いているととしみつがでてきた。なんか「?」って感じだ。きっとなにをしているか分からなかったんだろう。
あなた「歌詞書いてたの」
としみつ「おぉ」
あなた「曲だそ」
としみつ「楽しみにしてるわ」
あなた「やった」
なんとなく疲れたから寝るか〜ってなって寝室に来たのはいいんだけど、緊張している。
あなた「それオシャレだね」
隣に寝たとしみつのネックレスを見つめる。
としみつ「あなたのもおしゃれ」
あなた「…ティファニーのネックレス」
としみつ「…誰かとおそろい?」
あなた「…うん」
つい話を濁してしまった。元彼とのお揃いのネックレス。
あなた「としみつも誰かとお揃いの?」
としみつ「俺にはお揃いのネックレス付けてくれる彼女はいなかったな」
あなた「モテたくせに」
としみつ「愛してくれるかどうかは別問題。」
急に寂しそうになった空気で、ついとしみつを抱きしめてしまう。
あなた「私はとしみつに溺れてるのに」
としみつ「そんなこと言われたら理性とかなくなる。」
ばっと体制を変えられて、としみつが私の上に跨っている。
あなた「好き」
緊張で声が震えるのが分かる。
としみつ「もう知ってた」
どうやら、世の中の流れは変えられないみたい。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!