〔あなた〕
としみつ「あのストーカーが捕まる直前に俺達の事週刊誌に売ってた」
あなた「え…じゃあバレたの?」
としみつ「まだ記事は出てないけど、時間の問題」
あなた「そっか…」
としみつ「あなた、こんな所でって言うのも分かってる、順番が間違っとるのも知って言う」
あなた「・・・」
としみつ「…俺と結婚してみんか?」
あなた「もうなんなん!好きに決まっとるやん!」
起き上がれないまま抱きついてみるととしみつの笑い声が久しぶりに聞こえる。
としみつ「あなた岡崎市民だったっけ?笑」
あなた「違う、東北の生まれだ」
としみつ「俺のなまりうつっとらん?」
あなた「うつってないべ!」
としみつ「なんなん笑笑」
涙が流れてくるのに、口角が上がりっぱなし。よく考えたら、初めてここまで壮絶な恋をした。
としみつ「ごめん…指輪まだサイズ分からんくて買っとらん」
あなた「いいよ、指輪は後で」
としみつはその後病院の庭で花の冠を作ってくれた。いい天気だなぁ。
としみつ「もし、来世も会えたらどうしよう」
あなた「そうだなぁ…」
静かな風が吹いて草が揺れる音がする。
「としみつを、運命の人にしよう」
もうすぐまた知り合った季節に戻る。緑のスーツとワンピースを着てもう一度好きと言おう。
新緑の初夏に。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!