りょうくんに引っ張られるがまま、奥の部屋まで連れて行かれる。もうそのドアの奥にとしみつがいるなんて分かりきってる。
りょう「としみつー!」
ドアを開けた途端りょうくんはとしみつに向かって私を前に出した。緊張のあまりシーンとした空間になる。
としみつ「あなた…?」
あなた「・・・」
としみつ「なんで、なんでいるがや」
あなた「…ごめん」
としみつ「なんであの時一緒にいるって言ってくれんかった?ずっと電話にも出んし、振られたと思うやん」
あなた「もう一緒にはいられないの」
としみつ「だめだって、誰がそんなこと決めたん」
あなた「だってとしみつ、私といたら死んじゃうかもしれない…」
私を抱きしめたとしみつの肩が震えているのが分かる。
としみつのハグは暖かくて、みんなの前だって分かってるのに涙が流れてしまう。周りを見るとしばゆーくんはもう泣いていて、あまりにもドラマ的な場面だ。
としみつ「離れんで…」
あなた「無理だよっ…としみつ、死んじゃう…」
としみつ「死なん、一緒にいるって」
あなた「ダメ、ダメなのっ…」
私はとしみつから離れて、涙で喋りにくいなか必死に話した。
あなた「もうこれ以上好きにさせないでっ…本当は私だってとしみつ大好きだよ、今でも…っ…だけど、ここで私がとしみつといて500万人を悲しませるのは違う…」
としみつ「…分かった、」
としみつは私の腕を引っ張って車に連れてった。
あなた「ねぇ、としみつ、どこに連れてくの、」
としみつ「お願い、今日だけ。今日だけ一緒におって」
あなた「・・・」
なんでこんなことになっちゃったんだろう。でも会えて嬉しいよ、あぁ、どうしようもないくらい好きだなぁ。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。