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第1話

1話
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2018/03/21 13:59
車の急ブレーキの音、頭に受けた衝撃。

一気に視界がぐらつき、目の前が真っ暗になった。

────────
目を開けると、真っ白な…
「天井…?」

あたりを見渡そうとすると、頭が痛んだ。

「舞!大丈夫?!」

見慣れたお母さんの顔だった。

「お母さん…、私どうしてここに…あっ」

「あなた、交通事故にあったの。車に轢かれた。思い出した?」
早口でそう言うと、私の顔を覗き込んだ。

「思い出した。その時に、頭を打って…目の前が真っ暗になって…」

点と点が頭の中で繋がった。

「そうだ、舞。あなたが目覚めるのをずっと待ってる人がいるのよ、誰だと思う?」

「え、誰だろう…春香?」

「会ったら、絶対嬉しいはずよ。」

そう言ってお母さんは病室の扉を開いて、

「三浦くん、舞、目を覚ましたよ」
と誰かに声をかけた。

「じゃあ、私お医者さん呼んでくるから。」



「舞!」

お母さんと入れ替わりに入ってきたのは、

背の高い、端正な顔立ちをした男の子だった。

「無事で何より。あー、安心した。」
私の頬にあたたかい手が触れる。

なんでこの男の子、私にこんなに馴れ馴れしいんだろう…

どこかで会ったことある…?、







誰…?


「あ、あの!」
男の子の手をゆっくり払い、

「あなた、誰なんですか?」


そう恐る恐る聞くと、彼はにっと笑って自分の顔を指さした。

「冗談言うなよ、俺だよ、俺。」

「えっと…名前は?」

「はー?本気で忘れたとかいうなよ?三浦悠真だって。」

「どこかで会ったことある?」

「いや、毎日!」

どうにか思い出そうと考える。
誰、誰、誰…


「痛っ…!」
頭に激痛がはしった。

「大丈夫か?」

「なにも…思い出せないです。あなたのこと…」

「え…嘘、だろ…事故のせいで?…」
酷く彼は悲しげな顔をした。

そんな彼の表情を見て、ひどく胸が苦しくなった。
思い出したいのに、思い出せない。


彼のことだけ。




彼は、私の“なにか”だったの…?

私は、彼の何だったの…?



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