第33話

カンタside(おまけ1)
831
2019/03/19 01:21
今から約10年前……





俺達はまだ学生で、
まだまだ子供だった。




俺は特にやりたいことも無く、
平凡に過ごしてきた。












君と出会うまでは…………









あなた

ねえ、何してるの?



知らない子が話しかけてきた。




しかも女の子……




女は基本的に苦手だ……





カンタ
カンタ
べ、別になんだっていいでちょ……!
あなた

ぷっ!でちょってなに!?おっかしー!(笑)



急いで答えすぎて噛んでしまった。




その子はお腹を抱えゲラゲラ笑う。




カンタ
カンタ
や、やめろよ!!
あなた

あ、ごめん……




今度は落ち込む。



なんだよ、忙しいヤツ……




カンタ
カンタ
で、なんか用?
あなた

あのね!ここらじゃ見かけない顔だなって……どこから来たの?




俺は生まれも育ちも海外で、
両親の都合もあり日本に来た。




どうせまた、向こうに帰ってしまうけど……





カンタ
カンタ
どこだって……いいだろ
あなた

……



黙ってしまった……







気まずい……帰ろう……







その子を背に帰ろうとすると



あなた

待って!!



いきなり腕を掴まれた。


カンタ
カンタ
な、なに?


いきなりで動揺する俺。


あなた

確かにどこだっていい。全く興味ない。でも……いつも独りでここいるよね?友達になってくれないかな……



少し照れながらそう言う。


カンタ
カンタ
なんで……
あなた

なんでって……んー


少し悩んで、ハッとする。







あなた

貴方だから!!どこの人とか関係ない、貴方だから、あたし、友達になりたいの!



さっきよりも真っ赤にして、
可愛い笑顔でそう言われた。




ドキッ





胸が高鳴るのが自分でもよく分かる。




なんだ……この感情……






あなた

ねっ?いいでしょ?

カンタ
カンタ
でも俺……いつまた引っ越すか分かんないし……
あなた

引っ越したら手紙書く!会いには行けないかもしれないけど……連絡する!絶対あたしは、貴方の事忘れないから。




何も知らないくせに……




どーしてそんなことが言えるんだろう。







俺の胸が暖かな感情でいっぱいになる。






この子と、友達になりたい。




そんな感情が一気に押し寄せてくる。



カンタ
カンタ
友達に……なりたい
あなた

ほんと!?やった!!




ものすごく喜んでるその子を見て、
なんだかとても泣きそうになった。









カンタ
カンタ
名前、なんてゆーの?
あなた

……あなただよ。呼び捨てでいいから!そっちは?



あなた……あなた……









よし、覚えた。






嬉しさと泣きそうなのを必死で我慢しながら、

俺はこう答えた。









カンタ
カンタ
俺は佐藤寛太。みんなはカンタって呼ぶ。よろしくね




それが俺とあなたとの出会いだった。














end..*






※「隣にはいつも貴方がいた」が先に見たい方は、こちらにハートお願いします!!

プリ小説オーディオドラマ