今から約10年前……
俺達はまだ学生で、
まだまだ子供だった。
俺は特にやりたいことも無く、
平凡に過ごしてきた。
君と出会うまでは…………
知らない子が話しかけてきた。
しかも女の子……
女は基本的に苦手だ……
急いで答えすぎて噛んでしまった。
その子はお腹を抱えゲラゲラ笑う。
今度は落ち込む。
なんだよ、忙しいヤツ……
俺は生まれも育ちも海外で、
両親の都合もあり日本に来た。
どうせまた、向こうに帰ってしまうけど……
黙ってしまった……
気まずい……帰ろう……
その子を背に帰ろうとすると
いきなり腕を掴まれた。
いきなりで動揺する俺。
少し照れながらそう言う。
少し悩んで、ハッとする。
さっきよりも真っ赤にして、
可愛い笑顔でそう言われた。
ドキッ
胸が高鳴るのが自分でもよく分かる。
なんだ……この感情……
何も知らないくせに……
どーしてそんなことが言えるんだろう。
俺の胸が暖かな感情でいっぱいになる。
この子と、友達になりたい。
そんな感情が一気に押し寄せてくる。
ものすごく喜んでるその子を見て、
なんだかとても泣きそうになった。
あなた……あなた……
よし、覚えた。
嬉しさと泣きそうなのを必死で我慢しながら、
俺はこう答えた。
それが俺とあなたとの出会いだった。
end..*
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。