第25話

No.25
766
2019/03/16 11:43
カンタ
カンタ
話して?

心配してくれてるカンタを見て、
さらに胸が痛む。






もう黙っていられない。



言おう。全部。






あなた

カンタ、ごめん。

カンタ
カンタ
え!?ど、どしたの!?


いきなり謝るあたしにびっくりするカンタ。


あなた

あたし、会社の部長と……その……



いざ言おうとすると、
言葉が詰まって上手く言えない。





黙っていると何がを察したカンタが、
あたしの手を握った。







カンタ
カンタ
……分かったよ。辛かったね、今まで言おうか悩んでたんでしょ?1人で、抱えてたんでしょ?



思ってもいなかった優しい言葉。









どーして……?





あなた

か、カンタ……?

カンタ
カンタ
俺もごめんね。もうちょっとあなたを構ってあげれたら、こんなことにはならなかったよね。ごめんね。


あたしの手を握るカンタの手は、
強く力が入る。










どーして……




カンタ
カンタ
話してくれてありがと。





その言葉に涙が止まらなくなった。










なんで優しくそんなこと言えるの?




なんで許してくれるの?





なんで……そんなに冷静なの…







いろんな感情が交差して、
頭の中はぐちゃぐちゃだった。






カンタは今、何を考え何を察して、




何を思ってるんだろう。






カンタ
カンタ
泣かないで。




カンタはあたしを優しく撫でる。








もう聞けない。


カンタのこと、聞く気力がなくなった。





よくわからない感情が押し寄せる。








店員さんが少しだけ遠慮気味で、
お好み焼きを持ってきた。



カンタ
カンタ
食べよ?
あなた

……うん




あたし達は、そのまま黙々と食べた。









あなた

ごちそうさま





泣き止み、完食した頃。





カンタはあたしの目を真っ直ぐ見た。










カンタ
カンタ
明日、ここに来て。


そこは高級なお店。



カップルに有名な場所だった。




あなた

え、ここって……

カンタ
カンタ
あなたと付き合いたての頃、よくここの前通って、いいなって言ってたでしょ?




付き合いたての頃、
このお店の前を2人でよく通ったことがあった。



本当に綺麗で素敵なお店。





いつかここで、
大好きな人と食事をして、




永遠の愛を誓いたいと
くさいことを考えていた時期があった。




あなた

覚えててくれたの?

カンタ
カンタ
うん、俺記憶力案外いいんだよ?


少し意地悪な笑顔でそう答えた。



カンタ
カンタ
夜9時で予約してる。仕事が終わったら、ここの最上階で食事をしよう。




最上階。


夜景が一面に見えるとこだっけ。






あなた

カンタ……

カンタ
カンタ
だから、明日までには元気出して?ね?




こんなにもあたしを思ってくれる人。




優しくてかっこよくて、

大好きな彼。









今回は本当に、もう考えるのはやめよう。






そーすれば丸く収まる。






そう思うようにした。


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