良かった良かったと、
少しだけ意地悪な笑顔でそう言う。
嫌い……な訳じゃない。
でも素直に言うのは嫌だった。
ニヤニヤとあたしを見てくる。
こいつ……
何も言わずにいると
そーゆうことにしとこって、
自分勝手に納得していた。
そうだ、あたし……
カンタの行動を思い出し、
また少し落ち込んだ。
でもさっきよりはマシだった。
チクッと胸が痛くなる。
喧嘩……ではないんだけど…
真剣な顔で、
ただ真っ直ぐにあたしを見つめ、
そんなことを言われる。
ドキッ
胸が高鳴るのが分かる。
どーゆう…意味?
急に話を変えられ、
上手く返事が出来ないでいた。
そっかとまた寂しそうな顔をする。
ズキズキと胸が痛い。
なんでだろ……
その場を離れたあたし達は、
それぞれ別の道で帰った。
帰り道はただただ考え事でいっぱいだった。
とりあえず急いで帰り、
ご飯を食べお風呂に入る。
何気なくやってる事だけど、
ひとつ何かをする事に
頭の中がぐるぐるする。
カンタと女の子を見たもやもやと、
部長の言葉にチクチクする胸。
もう……一体どうなってんの……
何も考えたくなくて、
その日はすぐ眠った。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。