第13話

No.13
791
2019/03/06 10:50
また、憂鬱な一週間が始まった。



休みが楽しかったから、
なんだか余計に憂鬱な気分になる。





沙絵
沙絵
あなた、あれからどう?


沙絵が小声で聞いてきた。

あなた

どうって?

沙絵
沙絵
カンタくん。聞いたの?
あなた

……ううん、聞いてない。聞かないことにしたの。



えーなんでって、
不思議そうな沙絵。




自分が傷つきたくない…

ただそれだけだと思う。




沙絵
沙絵
……じゃあ部長とは?なんかあった?

いきなり話が変わり動揺した。

あなた

え、部長?な、なんで部長…



べしっ!




頭が痛い。

誰かに頭を叩かれた。






振り向くと部長がいた。


トミー
トミー
お前ら、喋るのはいいけど手動かせよ


いつも通り、機嫌が悪そう。







……でもなんか、
顔真っ赤なような……


沙絵
沙絵
部長だってよく喋るじゃないですか〜
トミー
トミー
うるせー。俺はいいんだ、俺は


息が少しだけ上がってる気がした。







……熱、でもあるのかな。





気になったけど、
ずっと見ていたら怒られたから

気にしないことにした。











コーヒーを取りに向かうと、
部長が座り込んでいた。



さっきより息切れがすごい。



あなた

部長!?大丈夫ですか!?


おでこを触るとやっぱり暑い。



結構高熱だとすぐに分かるくらいだった。




トミー
トミー
あぁ、お前か……大丈夫…


立ち上がろうとしてよろける。


あなた

大丈夫じゃないです!医務室の方呼んできます!


すぐ医務室の人を呼び、
一緒に医務室まで運んだ。


ベットに寝かせ熱を測ると、








39.5…やっぱり高い。




冷えピタを貼って、
汗を拭いた。


今度は苦しそうに息をしていた。




喉からはヒューヒューと
空気がうっすら抜けていく音がした。



結構重症なのかな…これは。



取引先
富永さん、お家はおひとり?
トミー
トミー
……あぁ…
取引先
迎えに来てくれる人、いない?
トミー
トミー
……いねぇ


困ったわねぇと、
医務室の人は考え込んでいた。

あなた

このまま落ち着くまで…とかは無理なんですか?

取引先
実はね……私もう上がりなの。うちの子供も熱出しちゃって、今日は早上がりなのよ。


そういえば、

他の部署の人たちも何人か風邪でダウンしていると聞いていた。



最近風邪、流行ってるからなぁ…





部長の方を見ると辛そうに息をしている。





このまま置く訳にも行かないんだもんね…







あなた

部長、あたし送りましょうか?



1回送ったことがあるから、
道は覚えていた。


嫌な思い出だけど……






病人はほっとけない。





あたしは部長を家まで送ることにした。


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