また、憂鬱な一週間が始まった。
休みが楽しかったから、
なんだか余計に憂鬱な気分になる。
沙絵が小声で聞いてきた。
えーなんでって、
不思議そうな沙絵。
自分が傷つきたくない…
ただそれだけだと思う。
いきなり話が変わり動揺した。
べしっ!
頭が痛い。
誰かに頭を叩かれた。
振り向くと部長がいた。
いつも通り、機嫌が悪そう。
……でもなんか、
顔真っ赤なような……
息が少しだけ上がってる気がした。
……熱、でもあるのかな。
気になったけど、
ずっと見ていたら怒られたから
気にしないことにした。
コーヒーを取りに向かうと、
部長が座り込んでいた。
さっきより息切れがすごい。
おでこを触るとやっぱり暑い。
結構高熱だとすぐに分かるくらいだった。
立ち上がろうとしてよろける。
すぐ医務室の人を呼び、
一緒に医務室まで運んだ。
ベットに寝かせ熱を測ると、
39.5…やっぱり高い。
冷えピタを貼って、
汗を拭いた。
今度は苦しそうに息をしていた。
喉からはヒューヒューと
空気がうっすら抜けていく音がした。
結構重症なのかな…これは。
困ったわねぇと、
医務室の人は考え込んでいた。
そういえば、
他の部署の人たちも何人か風邪でダウンしていると聞いていた。
最近風邪、流行ってるからなぁ…
部長の方を見ると辛そうに息をしている。
このまま置く訳にも行かないんだもんね…
1回送ったことがあるから、
道は覚えていた。
嫌な思い出だけど……
病人はほっとけない。
あたしは部長を家まで送ることにした。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!