自分の意見を言うことも
怒りを正しくぶつけることも
人に涙を見せることも
過去を過去と割り切ることも
貴方達の求める『普通』になることも
希望を持って今日を生きることも。
全部、
全部全部簡単じゃなかった。
私にとって、全部難しかったんだ。
しうねside
みんなが困惑した顔で私のことを見ている。当たり前だよね。
余計みんなが困惑してる。でも本当にわからない。私が小さい頃外を見た景色とそっくりだけど悪魔がいたことなんて知らなかった。いや、『知らされてなかった』のかもしれない。
私はこの家から出してもらえたことなんてなかったのだから。
ポン酢野郎side
村から少し離れたところにねろちゃんが飛行船を着陸させる。
裏道からここの家を出た……?
頭に?しか浮かばない。
瀬戸が俺らを透明化させなつぴょんが向こうに俺たちの音が聞こえないようにする。
いつものしうねさんからは想像もできないぐらい険しい表情をしている。しうねさんだったら後で話してくれるだろう。今聞かなくていい。のはわかってるけど気になっちゃうよねぇ
こっそりなつぴょんにテレパシーを送る。
なつぴょんは真面目だなぁ…と思う。
…まああとでのっちさんあたりが聞きそうだな、今はこっちのこと考えよう。
まあ、考えるって言っても俺体当たりしかできないんですけどね!
なかのっちside
しうねさんが案内してくれた裏道は俺ら、この(うるさい)男共が通る通路としては小さすぎた。
しうねさんとみさとらんは通れそう。ズズも獣化したらいける。小柄ななつぴょんもギリギリ通れそう。俺もギリギリ通れそうかな…?
しうねさんが静かな、でも芯の通った強い声でそう言った。
きっとなんとなくでしかないけど。
しうねさんにとって思い出したくもない過去なのかもしれない。
何年も一緒にいて辛いことがあったことを知らなかった。少しでもしうねさんの心の支えになれたのかもしれないのに。それが今1番申し訳ない。
それでも一緒に戦ってくれることが少し嬉しくも感じた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。