第3話

🌧
104
2020/05/16 11:47
HRが終わったと同時に、ガヤガヤとうるさくなる教室。


私はこの時間が大嫌いだ。


なんて言ったって、友達や家族の愚痴が四方八方から聞こえてくるから。



『Mってしつこくない?』

『今日も母親に怒られた。あ〜ムカつく』



家族からも、友達からも愛されていない私にとって、そのような言葉を聞くことは苦痛でしか無かった。


では、何故そのようなことが言える?


それは_____








____「当たり前」の生活を送っているから。





"当たり前のように"ご飯が出てくる。

"当たり前のように"周りには家族や友達がいる。

"当たり前のように"笑えている。


それもこれも全部、あなたの周りに支えてくれる人がいるから出来ること。



佐野梨々花
佐野梨々花
っ.....



結局私も、周りと比べて嫌悪感に浸っているだけかもしれない。

周りを見渡せば、少しくらい私を必要としてくれる人がいるかもしれない。



でも、そんなことをする気力もなく、私の毎日は過ぎ去っていく。


1日1日、とてつもない嫌悪感と喪失感が、私の心に深く深く溜まっていくのだった。

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