HRが終わったと同時に、ガヤガヤとうるさくなる教室。
私はこの時間が大嫌いだ。
なんて言ったって、友達や家族の愚痴が四方八方から聞こえてくるから。
『Mってしつこくない?』
『今日も母親に怒られた。あ〜ムカつく』
家族からも、友達からも愛されていない私にとって、そのような言葉を聞くことは苦痛でしか無かった。
では、何故そのようなことが言える?
それは_____
____「当たり前」の生活を送っているから。
"当たり前のように"ご飯が出てくる。
"当たり前のように"周りには家族や友達がいる。
"当たり前のように"笑えている。
それもこれも全部、あなたの周りに支えてくれる人がいるから出来ること。
結局私も、周りと比べて嫌悪感に浸っているだけかもしれない。
周りを見渡せば、少しくらい私を必要としてくれる人がいるかもしれない。
でも、そんなことをする気力もなく、私の毎日は過ぎ去っていく。
1日1日、とてつもない嫌悪感と喪失感が、私の心に深く深く溜まっていくのだった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。