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2020/09/17

第1話

1、桜の咲く頃に思い出す
_佐久間 南々@さくま なな_
佐久間 南々さくま なな
…もう、この場所には来れないのかな。
公園に咲く、大きな桜の木。
私は、美しいその幹にそっと触れながら呟いた。
ーーーーー
この桜の木は、私と弟の遊び場だった。
春は下にレジャーシートを敷いておままごとをしたし、夏になれば公園で走り回った後枝の上でひと休み。
秋になると、落ちてくる葉を集めてお店屋さんごっこもした。
もう、自分の家に居る時間よりここにいた時間の方が長いくらいだ。
…だからこそ、この桜の木は私の弟のことをしていたんじゃないか。
弟が、道路に飛び出した理由が、分かるんじゃないか。
そう思って、毎日、毎日、ここに通っていた。
…けれど。
〜〜〜〜〜
お母さん
南々。来月、引っ越すことになったわ。お父さんの仕事の都合でね。
ちょっと遠いところに引っ越すのよ。支度をしておいてね。
_佐久間 南々@さくま なな_
佐久間 南々さくま なな
…え
〜〜〜〜〜
そう、お母さんに告げられてから今月で1ヶ月。
私は、明日この街を出る。
_佐久間 南々@さくま なな_
佐久間 南々さくま なな
しんのことが分からないまま、引っ越すんだね、私。
思わず、思っていたことを口に出してしまう。
すると。
ぽたっ
_佐久間 南々@さくま なな_
佐久間 南々さくま なな
…?え?
何かが、落ちた。
土の地面には、薄らと色が濃くなっている場所ができていた。
_佐久間 南々@さくま なな_
佐久間 南々さくま なな
…雨?
いや。
心の奥底では、これが何か分かっている。
_佐久間 南々@さくま なな_
佐久間 南々さくま なな
…私、泣いてるんだ
そのことに気づくと、今度は止め処なく涙が溢れてくる。
_佐久間 南々@さくま なな_
佐久間 南々さくま なな
心……
やぁ、こんにちは。お嬢さん、泣いているのかい?
_佐久間 南々@さくま なな_
佐久間 南々さくま なな
…へ
急に知らない人に話しかけられ、思わず体が固まってしまう。
_芽生 咲@めばえ さく_
芽生 咲めばえ さく
おや、そう怖がらないでおくれ。私は芽生 咲めばえ さく。君の大事な「思い出」の謎を解き明かす唯の旅人さ。
そう言って、謎の人は深くお辞儀をした。
め、芽生…咲…?思い出の謎…?
_佐久間 南々@さくま なな_
佐久間 南々さくま なな
は、はぁ?
_芽生 咲@めばえ さく_
芽生 咲めばえ さく
あのね、君は、弟が遺した「謎」について悩んでいるんだろう?
う、うーん…まぁ、急に飛び出していってしまったことが謎なんだし…うん、そうだね。
_佐久間 南々@さくま なな_
佐久間 南々さくま なな
…はい
_芽生 咲@めばえ さく_
芽生 咲めばえ さく
なら、この唯の杖ステッキに触れてみなよ。
そう言いながら、芽生はくすんだ桜色の杖を取り出した。
恐る恐る、その杖に指先を触れさせた。
_芽生 咲@めばえ さく_
芽生 咲めばえ さく
さぁ…魔法が始まるよ!
そう芽生が叫んだ瞬間。
たった一瞬、一瞬だけど、私の弟__心の、姿が見えた。
_佐久間 南々@さくま なな_
佐久間 南々さくま なな
え…心…?
_芽生 咲@めばえ さく_
芽生 咲めばえ さく
さぁ、フィルムを手に取って!早くしないと消えてしまうよ?
急に見えた心の姿に戸惑っていると、ひらひらと謎のフィルムが舞い降りてきた。
言われた通り、そっと手に取る。
ぱぁぁぁぁぁ。
手に取った瞬間、眩しい光が私を包んだ。
〜〜〜〜〜
お母さん
心!なんなの、この点数は!
え、お母さん?今まではこんな大声、出さなかったのに…どうして?
_佐久間 心@さくま しん_
佐久間 心さくま しん
ご、ごご、ごめんなさい…
…え?
なんで、心が居るの?
なんで、お母さんは心を叱り付けているの?
お母さん
お姉ちゃんをねぇ、しっかり見習えっていつも言っているでしょう!いつもいつもゲームとかして…捨てるわよ⁉︎ゲームもあんたも!
え…私が勉強をしている間に、こんなことが起こってた…の?
_佐久間 南々@さくま なな_
佐久間 南々さくま なな
お母さん!心を許してあげて!
そう叫んでも、何故か声は届かない。
_芽生 咲@めばえ さく_
芽生 咲めばえ さく
…無駄だよ
“過去”を変えると、君も消えてしまうかもしれないんだ。そんな危ないこと、私にはできないよ
そう淡々と語る芽生に、段々と腹が立ってくる。
_佐久間 心@さくま しん_
佐久間 心さくま しん
…………はい、ごめんなさい…
お母さん
ほら、さっさと宿題をしなさい!こんなことしてる間にもねぇ、お姉ちゃんは宿題以外にも予習復習頑張ってるのよ⁉︎
〜〜〜〜〜
_佐久間 南々@さくま なな_
佐久間 南々さくま なな
…どうして
_佐久間 南々@さくま なな_
佐久間 南々さくま なな
どうして、心は私に助けを求めなかったの?
私が、頼りなかったから?
私が…日を重ねるにつれて、心と遊んでやれなくなったから?
_芽生 咲@めばえ さく_
芽生 咲めばえ さく
いいや、どれも違うさ
_佐久間 南々@さくま なな_
佐久間 南々さくま なな
?じゃあ何が原因なの…?
急に心を読まれびっくりしたが、それよりも芽生の話が気になる。
_芽生 咲@めばえ さく_
芽生 咲めばえ さく
心くんはね…君、そう、南々さんを…困らせたくなかったんだ
_佐久間 南々@さくま なな_
佐久間 南々さくま なな
え?
困らせたく…ない?
_芽生 咲@めばえ さく_
芽生 咲めばえ さく
心くんは、最近南々さんが遊んでくれない理由を知っていた。
_芽生 咲@めばえ さく_
芽生 咲めばえ さく
それは、“勉強”だ。
_佐久間 南々@さくま なな_
佐久間 南々さくま なな
_芽生 咲@めばえ さく_
芽生 咲めばえ さく
お母さんから聞いた話で、心くんは、南々さんが有名高校に受かるために勉強を一生懸命していることを知っていた。
_芽生 咲@めばえ さく_
芽生 咲めばえ さく
そんな南々さんに今の自分が親にものすごく叱られている、助けてくれ だなんて、迷惑に決まってる。邪魔になってしまう。
_芽生 咲@めばえ さく_
芽生 咲めばえ さく
きっと心くんは、そう考えたんだよ。
_芽生 咲@めばえ さく_
芽生 咲めばえ さく
でも、親からは逃げられない。
_芽生 咲@めばえ さく_
芽生 咲めばえ さく
だから、心くんは__
_佐久間 南々@さくま なな_
佐久間 南々さくま なな
…そんな
また、自然と涙が溢れてきた。
ふと気づくと、もうフィルムは消えていて。
もう、生きていた頃の心には会えないと、悟った。
…でも。
_佐久間 南々@さくま なな_
佐久間 南々さくま なな
心は、私を気遣ってくれていたんだね。
私の言葉に、芽生が頷く。
_佐久間 南々@さくま なな_
佐久間 南々さくま なな
…それならさ!
_佐久間 南々@さくま なな_
佐久間 南々さくま なな
心が遺してくれた分、受験勉強頑張らなくちゃね!
_佐久間 南々@さくま なな_
佐久間 南々さくま なな
受からないと、心も悲しいだろうしね!
…あれ?なんでだろう。
どんどん言葉を紡いでいくたび、涙がどんどん溢れる。
_芽生 咲@めばえ さく_
芽生 咲めばえ さく
…泣かないで。心くんも、南々さんが泣くことなんて望んでないはずさ
_佐久間 南々@さくま なな_
佐久間 南々さくま なな
…うん。
ハンカチで涙を拭く。
不思議と、心にのしかかっていた重石が取れた…ような気がした。
_佐久間 南々@さくま なな_
佐久間 南々さくま なな
芽生さん、ありがとう。
_芽生 咲@めばえ さく_
芽生 咲めばえ さく
いいや。君の“思い出”の謎が解き明かせたのなら、それで充分さ。
タッタッタ。
_芽生 咲@めばえ さく_
芽生 咲めばえ さく
…おや。
芽生のステッキが、地面を叩いた。再び、今度は淡い光が芽生を包み込む。
_芽生 咲@めばえ さく_
芽生 咲めばえ さく
召使いがお呼びのようだ。ご飯の時間かな?
_佐久間 南々@さくま なな_
佐久間 南々さくま なな
…じゃあもう、行っちゃうの?
_芽生 咲@めばえ さく_
芽生 咲めばえ さく
ああ。ごめんよ。じゃあ、またいつか!
ぱぁぁぁぁぁ。
淡い光に包まれた芽生は、一瞬のうちにして消えてしまった。
_佐久間 南々@さくま なな_
佐久間 南々さくま なな
芽生さん、ありがとう。お陰で心が一人で…飛び出していってしまった理由が分かった。本当に、ありがとう。
ーーーーー
_芽生 咲@めばえ さく_
芽生 咲めばえ さく
…今の子は、に相応しくないな…
_芽生 咲@めばえ さく_
芽生 咲めばえ さく
早く、早く見つけたい。
_芽生 咲@めばえ さく_
芽生 咲めばえ さく
私の新しい、“唯一の私物”を。