第24話

もう少しだけいいよね?
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2018/03/01 06:43
山田涼介
山田涼介
ねぇ、本当に帰るの?
あなた

……なんで?

さっき上でしつこいって叱ったばかりだと言うのに、涼介は相も変わらずまだそのような事を問いかけてきた。

何度聞かれたって答えなど変わらないというのに、なぜ何度も訊ねてくるのだろうか。
山田涼介
山田涼介
もう少し一緒にいたい
あなた

か、彼氏じゃないんだから……

頬を淡い桜色に染めながら小さく俯き呟いた。

普通、女の子がそんな言葉を不意に告げられたら誰しも私のように顔を赤く染めるに違いない。ましてや相手はあの山田涼介なのだから。
山田涼介
山田涼介
じゃあ彼氏だったらいいの?
あなた

そ、そう言う訳じゃなくて………!

誰もいない静まり返った生徒玄関に響く、私の掠れた声。恥ずかしさで胸がいっぱいになり、今にも溢れ出しそうだった。

なんで……なんでこういう時に限って誰もいないの?
誰でもいい、誰か来てくれさえすれば「この人変態ですっ!」と濡れ衣を着せて逃げられると言うのに。……って違う、そうじゃなくて。
山田涼介
山田涼介
じゃあどういう訳?
あなた

もう……しつこいって………

山田涼介
山田涼介
……こっち見ろよ、あなた
突如低くなった彼の声に思わず顔を見上げた。そこには、真剣な眼差しで私を見つめる山田涼介の姿があった。

逃げ出そうにも私の腕は彼にガッシリと捕まえられており不可能だった。
あなた

や、山田………りょ……

山田涼介
山田涼介
違う。涼介でしょ?
あなた

―――っ

どんどん私のペースが持っていかれてしまう。耳まで林檎のように真っ赤に染められた私は、とっさに俯きながら「りょ、涼介……」と改めて彼の名前を呟いた。
山田涼介
山田涼介
ねぇ、もう少し一緒にいようよ
あなた

わ……分かったから………っ!

肉食動物のようにグイグイと来る彼に負け、渋々了承した。次の瞬間、そこらと同じ少年の顔に戻った山田涼介は「よっしゃ!」と拳を挙げた。
山田涼介
山田涼介
じゃあ俺荷物取ってくるからここで待ってて
あなた

は、なんで………ッ

山田涼介
山田涼介
な?
あなた

………分かったよ

山田涼介は、「うおおお!」と雄叫びを上げながら走行禁止の廊下を全速力で駆け抜けていった。

それから間もなく、やれやれと失笑する私の前に3人の人影が姿を現した。スマホに視線を落としていた私がゆっくりと顔を上げると、そこには先程の3人が相変わらずの並び順で仁王立ちしている。
あなた

――何か用?

先に口を開いたのは私の方だった。
素っ気ないその問いかけに、神谷さんは眉間にシワを寄せ「何その生意気な態度」と睨み付ける。
神谷さん
ちょっと2人に気に入られてるからっていい気になり過ぎなんじゃない?
佐々木さん
ちょっと調子乗りすぎだよね〜
堀さん
そうだよ!迷惑だとか言うけど満更でもないんじゃない?
神谷さんの一言に、「そうだよそうだよ!」と堀さんと佐々木さんが同意し、便乗する。

……アンタらはコーラスかなんかか。
あなた

……で?何が言いたいの?

神谷さん
アンタと絡んでると2人のランクが下がっちゃうからさ。ほら、綺麗なものが汚いものと一緒にいると汚染されちゃうでしょ?
なんだその理屈。
いまいちよく分からなかったが、それはきっと彼女らが馬鹿なだけなのだろうと解釈する事にした。
あなた

だから?

佐々木さん
ここまで言ってまだ分からないの?
堀さん
あなたちゃんって馬鹿?
そんなどうでもいい侮辱はどうでもいいから早く言えよと、軽く舌を鳴らして催促して見せた。

どうやらそのせいで更に火がついてしまったらしい3人が「はぁ?」と声を荒らげながら私を横目で睨み付け、代表してか神谷さんがこう言った。
神谷さん
あの2人と関わらないであげてくんないかな?

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