第41話

僕らのシンデレラー知念sideー
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2018/03/26 06:38
ふと神谷さん達の口から出たあなたちゃんの話に思わず耳を傾けた僕は、何となくだがモヤモヤとした気持ちに襲われた。
神谷さん
真里花って本当にあなたちゃんに渡したんでしょ?
堀さん
嘘ーっ!
親友だったのにありえない………!
佐々木さん
親友ってのも名前だけだったんじゃね?
真里花ちゃんの名前も出たと思えば、親友だの渡しただの、一体何を話しているのだろうか。

3人の間に割って入って「何の話?」と訊ねる事も考えてはみたが、そうした所であの子達が素直に教えてくれるかと言われれば何も返せないので辞めておく事にした。
神谷さん
―――まぁ、アタシ達が書かせたんだけどね〜ッ!
最後にはそんな言葉も耳にしたが、涼介に呼ばれた僕はさほど気にする事はしなかった。

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知念侑李
知念侑李
何?
山田涼介
山田涼介
いや、何じゃねぇよ。
まだ帰らねぇの?
知念侑李
知念侑李
………あー
僕と涼介は最寄り駅までは同じ道を帰るため、どちらかに用事がなければいつも一緒に帰っている。そのため、今も気を利かせてくれた涼介がわざわざ声を掛けてくれたのだ。

山田涼介
山田涼介
……知念?
山田涼介
山田涼介
………知念?
知念侑李
知念侑李
あ……ごめんごめん!
僕も帰るよ
あの3人の事が少し気になったが、あなたちゃんの事を想っている僕の聞き間違いかもしれない。

どうしても気になるようなら明日にでも聞いてみればいいや。何となくそう思った僕は、「待って!」と涼介の背中を追った。

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知念侑李
知念侑李
………ねぇ、涼介
山田涼介
山田涼介
何だ?
知念侑李
知念侑李
神谷さん達の事………
何気なく涼介に訊ねてみた。
涼介はこちらに顔を向けること無く、背中越しに「ああ」と一言呟いた。
山田涼介
山田涼介
………お前も気付いた?
知念侑李
知念侑李
え?
気付いた、とは一体なんの事だろう。
反射的に聞き返した僕に、涼介は「あれ、知らねぇの?」とくるりと身体をこちらに向けた。
山田涼介
山田涼介
あいつら…………。
あなたの事嫌いだよな
知念侑李
知念侑李
え、そうなの?
山田涼介
山田涼介
………見てればすぐ分かるだろ
では、全く気付かなかった僕は今まであなたちゃんの事をあまりよく見てあげられなかったのだろうか。

そんな不安に駆られながらも恐る恐る「涼介はなんで分かったの?」と問いかけてみた。
山田涼介
山田涼介
よく嫌味とか言ってたろ
知念侑李
知念侑李
うーん……全然分かんなかった…………
それだけ彼女の事をよく見れてなかった。という事だろうか。僕は今まで何をしていたんだろう………。
山田涼介
山田涼介
大丈夫だ。
あなたは意外と強いしな
知念侑李
知念侑李
……そう、かな…………
山田涼介
山田涼介
もし駄目でもその時はお前が助けてやればいいよ
知念侑李
知念侑李
涼介は?
僕に背を向けた涼介は、静かに「もちろん俺も助けてやるけどさ」と呟いた。僕らは一応恋敵な訳だが、これでも長い間二人でアイドルをやってきた仲だ。

僕らはシンデレラを守るために、少しでも力を合わせなければ――――。

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