第15話

僕のだもんね!
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2018/02/19 01:51
伊野尾先生
伊野尾先生
八乙女先生にね、『ベッドで寝るくらいならここで留守番してろー!』って任務もらったんだ!
ドヤ顔で私達にそう語り付けた伊野尾先生だったけど、それサボリとほぼ同じ状況じゃないかと私は落胆した。
伊野尾先生
伊野尾先生
で、キミ達は?
山田涼介
山田涼介
あ、ああ………こいつが階段から落ちそうになったから救急車ッス
いや、階段から落ちそうになったという所まではいいが、“救急車”って言ったって先生に伝わるはずがないじゃないか。

変に誤解されてしまっては困るため、慌てて弁解を試みようと口を開いた私だったが、その声は伊野尾先生の「なるほどね!」に掻き消された。
あなた

え……分かったんですか?

伊野尾先生
伊野尾先生
うん!カンペキにね!
……この人達の脳内環境というのは一体どうなっているんだろう。

一般の常識的な脳をしている人なら絶対にわかり得ない事を、この2人は意図も簡単に通じ合ってしまうんだから、なんだか怖くなってしまった。
山田涼介
山田涼介
目立った傷はないけど適当に絆創膏貼っとけばいいか
あなた

てっ、適当!?

それは絆創膏がもったいないのでは……。
と考えている内に、山田涼介は痛みどころか傷すらない私の膝に絆創膏を貼ってしまっていた。
山田涼介
山田涼介
よし!
あなた

よしじゃないよ………!

伊野尾先生
伊野尾先生
さすがだね山田くん!
あなた

……ええっ!?

もうこの人たちには着いていけない………。
恐る恐る保健室の扉を開けて逃げ去ろうと後退り、扉を開けようと手を掛けたその時――。
知念侑李
知念侑李
―――あなたちゃーん!
あなた

ちっ、知念く……ッあ!

突然開いた扉から姿を現したのは知念くんだった。
扉に軽くもたれかかっていた私は、思わず身体を倒しそうになるも知念くんが支えてくれた事により、それは何とか間逃れた訳だけど。
知念侑李
知念侑李
大丈夫……?
あなた

――っ!

支えてくれている知念くんを見上げると、そこには真剣な眼差しで私を見つめる彼の姿があった。

顔が近いからか、耳まで真っ赤に染めながら「ごっ、ごめん……!」と慌てて身を離した。
知念侑李
知念侑李
あなたちゃんが無事なら良かった!
でもなんで授業こないの?
どうやら私と山田涼介が抜け出した事に心配してくれたらしく、仮病を使いここまで探しにきてくれたようだった。
あなた

あ……いや、それは

知念侑李
知念侑李
………しかも涼介と一緒なんてぇ……!
知念くんが指さした先には、ドヤ顔で「はんっ!」と両腕を組む山田涼介の姿があった。
山田涼介
山田涼介
格の違いってやつだ!
どこかで似たような台詞を聞いたことがあるような気がしながらも、まるで他人事のように「へぇ」と呟いた。
知念侑李
知念侑李
ふん!いいもんあなたちゃんは僕のなんだからっ!
知念くんに身体を引き寄せられ、私の身体は再び彼の腕の中へと吸い込まれた。


後ろから抱き締められるような形になっているが、洋画なんかによくある

『こいつがどうなってもいいのか!?』と言うような人質の気分になりながらも、彼ら2人のお馬鹿劇場を知念くんの腕の中から眺めていた。
伊野尾先生
伊野尾先生
み、みんな仲良くしようよぉ……
そんな私達の後ろで、知恵の輪どころでない伊野尾先生が困惑しながら頭を抱えていた。

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