第9話
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豆ちゃん本人も私の気持ちに気付いてる。
だからだ…
だからちょっと距離感出されてたんだ。
何やってんだろ。
てかみんなにバレてるなんて、そんな分かりやすいのかな。
恋愛初心者かよ…
ダンスフェスの日から数日経った。
あの日から恥ずかしすぎて、豆ちゃんから逃げるように生活している。
「はぁ…。」
足元に転がる小石を庭の池にそっと投げる。
豆「あなたちゃんどうしたの?」
あまりにビックリして声も出なかった。
驚く私を無視して少し前歯が見える可愛い笑顔で覗き込んでくる。
顔近いし、普段こんなふうに接してこないから正直パニックで何をどう答えたら良いのかわからずその場を立ち去ろうとすると、ギュッと手を握られた。
豆「なんか俺のこと避けてるよね?気に触ることした?」
「ち、違うよ!全然」
ちょっと話そうと言われて、いつかみたいに池の前に2人でしゃがんだ。
豆「この間見に来てくれてありがとう。嬉しかった」
「うん」
豆「手振ったの気付いてくれた?」
「やっぱり!手振ってくれたよね!?」
あの時そんな気がしてたけど、嬉しくて思わず声が大きくなる。
豆「声大きいって(笑)てかやっと普通に話してくれた」
「あっ、うん。なんかごめん」
本当はかっこよかったよって伝えたかったし話したかったのに恥ずかしすぎて出来なかった。
でも今それを伝えるチャンスだ。
「豆ちゃんすごくキラキラしてたよ、かっこよかった」
豆「うん、ありがとう。まぁ、あなたちゃんに気持ちが届くようにって踊ったから」
それってどういう…
豆「顔赤いけど?」
「からかってる?」
豆「ううん、本気」