第15話
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鶴「アイドル目指してる子が恋愛してるってバレたらヤバいやろ。何言われるかわからんで。あなたも豆も」
「別れろってこと…?」
私の問いに汐恩が答えようとした時
豆「それはこれから話すから…あなたちゃん来て」
電話を終えた豆ちゃんが私の手をとって、いつもの池の前に連れて行く。
豆「親に電話したらすごく喜んでくれた」
嬉しそうに、少し照れ臭そうに話す。
そして、豆ちゃんがこれから参加するオーディションについて詳しく教えてくれた。
豆「1stシーズンから見てたからさ、このオーディションだけはどうしても逃したくなかったんだ」
「豆ちゃんならアイドルになれると思うよ。フェスで踊る姿を見た時キラキラしてたもん」
豆「応援してくれる?」
「もちろん…」
嘘つき。
別れなきゃいけないって知ってて、心から応援なんて出来る?
私は無理そう。
でもそんなの豆ちゃんを困らせるだけ。
豆「…ありがとう」
私に静かに近づく豆ちゃん。
瞼を閉じると
そっと触れるだけの
私達の最後のキス
豆「…好きだったよ」
繋いでいた手を離し、暗闇へと消えて行く。
離れてしまった唇が、手が寂しくて。
ただその場で涙を流して立ち尽くすことしか出来なかった。