第38話
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ガチャ…
純「もう、はよ行けやぁ」
景「教えてくれたっていいじゃん…あっ」
振り返ると、景瑚くんが部屋から追い出されるところだった。
「…っ」
純喜くんを見るとさっきのことを鮮明に思い出す。
どうしよ…
顔が熱い…
急いで拓実くんに向き直すと呆れた様子で後ろの2人を見ている。
拓「はぁ…またでいいや。あなたおやすみ」
「あ、おやすみ…」
自室に戻った拓実くん。
私の顔、絶対赤い。
見られてないといいんだけど…。
その日以降、しばらくは拓実くんとも純喜くんともギクシャクしていた。
でもそれも時間の問題で徐々にいつもの関係に戻り、拓実くんとは休みが合えば一緒に出かけたりしている。
ただ純喜くんとは距離が出来た。
みんなといる時はいつものようにふざけたり出来るのに、ふと2人きりになった時はどちらも口を聞かないし
事あるごとに相談しに行っていたのを、私は辞めた。
そしたらあっという間に純喜くんと私の距離は開いた。
「はぁ…」
鶴「ため息なんてして、どうしたん」
庭の池に小石を投げて考えごとをしていると汐恩が横に来た。
最近の胸の中のモヤモヤを誰にも相談出来ず、もう考えることを諦めようとしていたところ
汐恩の"どうしたん"が私の口を開かせた。
「悪いことなんて何もないのに、なんだか世界がグレーかかって見えるよ」
鶴「なんやねん、その表現」
「楽しくないってこと」