第19話

春日山城
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2021/03/16 04:54
(さくら)「なーに、買おっかな」
さくらは使いのため、腰に刀を持ち反物屋に来ていた。


(さくら)『やっぱ、城下町は賑やかだな(*^^*)店主さんこの反物ください!』


(店主)「はいよ!」


さくらは買い物が終わると安土城への帰路につこうとした。


そのとき……


(?)「おい、そこの女」


さくらは声のした方を見る。


そこには……


(さくら)『貴方はたしか……佐助くんと一緒にいた』


(?)「上杉謙信、といばわかるか?」


(さくら)『やっぱり……あの何か用ですか?』


(謙信)「お前に聞きたいことがある
ともに春日山城に来い」


(さくら)『わかりました。でも少し待ってください……店主さんこれ安土城まで届けることできる?』


(店主)「あいよ!任せときな」


(さくら)『ありがとう!あとは……』

さくらはダイヤを取り出すと光を空に向け放つ。


すると……


空から一羽のふくろうがさくらの足元に止まる。


(謙信)「なんだ?この鳥は……」


(さくら)『私の飼い鳥、雫です……
よし、これでよしっと……安土城までこの文を届けて!』


さくらは雫を空に放つ。
雫は空高く飛び、安土城に向かって行った。



(さくら)『さ、行きましょうか……
えーと、どこでしょうか?(・_・?)』



(謙信)「あぁ、こっちだ……ついて来い」


さくらは謙信と一緒に春日山城に向かうのだった。



上杉の馬に乗り、さくらは春日山城にやって来た。



(さくら)『ここが春日山城……(・o・)』



(謙信)「さっさと来い、置いてくぞ」



(さくら)『すいません、今いきます』



さくらは謙信を必死に追いかけた。



謙信に着いていくとある一室に通される。


そこには……



(?)「お前は……!?」


(さくら)『幸……!?』


幸と言われた男が座っていた。
その男はさくらを見るなり驚く。


(幸)「あのとき、崖から飛び降りようとした女」


(さくら)『私にはさくらって言う名前があるんだけど……』


(?)「あぁ、あのときの天女か……」


部屋の騒がしさから幸と呼んでいた男も居合わせる。


(幸)「信玄様」


(さくら)(信玄様ってことはまさか
武田信玄……)


どうやら、その男は信玄というらしい。

(信玄)「謙信、お前も隅におけないな」


(謙信)「勘違いするな、俺はこいつに聞きたいことがあるだけだ」


(幸)「自己紹介がまだだったな
俺は幸って呼ばれてるけど、本名は幸村だ」


(さくら)(幸村ってことは名字は真田だよね)



(?)「さくらさん?」


(さくら)『久しぶり、佐助くん
謙信様に連れてこられちゃった……』



(佐助)「謙信様、なぜさくらさんを……」



(幸村)「そろそろ本題に……」


(謙信)「あぁ……」



謙信は短く言うと、さくらに向き直る。
さくらも真剣な顔で謙信の言葉を待つ。


(謙信)「この前、俺が春日山城に帰る道中に数人の浪士に囲まれてな……倒したはいいが
妙な光景だった」


(さくら)『妙な……とは』


(謙信)「その浪士どもから黒い煙が出てきてこんなことを言っていた」


(さくら)『……それはもしかして
聖石せいせきの巫女を地獄に陥れるという言葉ですか?』


(謙信)「!?」


さくらの言葉に謙信は目を見張る。


(幸村)「聖石せいせきの」


(信玄)「巫女?」


さくらは頷くと懐からダイヤを取り出し、謙信達に見せる。


(謙信)「何だ?これは」



(佐助)「これは……ダイヤモンドですね」



(幸村)「ダイヤ……なんだって?」



(佐助)「ダイヤモンド……固いけど、きれいで日ノ本では採れない貴重な石ですかね」



(信玄)「その石を、どうして君が?」



(さくら)「これは気の許せる友人から貰い受けたものです……そして、聖石せいせきの巫女は私のことです……」


(謙信)「なぜ、そう言い切れる……?」


(さくら)『これは、やって示した方が早そうですね……謙信様、この石に手をかざしてみてください』


さくらはダイヤを謙信に向ける。


(謙信)「かざせばいいのだな……?」



(さくらは)『はい……』



謙信はさくらの持つダイヤに手をかざす。


すると……



ダイヤの先端が色が濃い青になった。


(佐助)「ダイヤの先端が……」



(信玄)「普通の青より濃い色になったな」



(幸村)「どういうことだ?」



(さくら)『これは……私がこの石を通して
謙信様の内に秘める力を借りたことになります』



(謙信)「俺の……内に秘める力」



(さくら)「謙信様の場合、堂々とぶつかりたいという強い気持ち、それに刀が宙を舞うような機敏な様子が石を通して感じます
お力、返しますね……」


さくらはダイヤにある力を謙信本人に返す。
その光はすっと謙信に収まった。


(謙信)「なるほど……」



(さくら)『それより、いいんですか?
仮にも私、安土城の人ですよ……』



(幸村)「織田側のやつだったのかよ」



(信玄)「さしずめ、安土城の巫女というわけか……」




(謙信)「今はいい……聞きたいことを聞けたからな……今夜は泊まっていけ
佐助、さくらの部屋を用意してもらえ」



謙信はそう言うと部屋を出ていった。



佐助に部屋へと案内されたさくらはそこで一日を過ごすのだった。







一方、安土城ではさくらが帰ってこないことを心配して広間に武将達が集まっていた。



(秀吉)「さくらが帰ってこない……」



(政宗)「まさか、拐われたか?」



(信長)「あやつは反物屋に行くと言って
護衛も付けず、刀一本持って出掛けたきりだ」



(家康)「何やってるんだか……あの娘」



(光秀)「心配なのか?家康……」



(家康)「そんなんじゃないです」




(三成)「危険な目に遇ってないといいですね……」



そのとき……




パタパタパタ……


広間に一匹のふくろうが信長の腕に止まった。



(信長)「なんだ?貴様は……」



(光秀)「これは、ふくろうですね」



(三成)「信長様、このふくろう
足に文を付けています……」



(信長)「まさか、あやつのか……
秀吉、文を読んでみよ」



(秀吉)「はっ!」



秀吉はふくろうの足から文を取り、広げる。



(家康)「秀吉さん、文にはなんて」



(秀吉)「『上杉謙信に聞きたいことがあるから城に来いと言われたので少し言ってきます
心配しないでくさい』と書かれています」



(政宗)「まだ何か書いてるぞ?」



(秀吉)「『追伸、このふくろうは私の友達の雫です、いじめたりしないでくさいね』と」



(信長)「ほぅ、さくらのだったか……やはり、面白い女だ」


手紙が届けられるのを見届けるとふくろうの雫は広間から抜けて空高く飛んでいった。


(三成)「それにしても、上杉謙信がさくら様に聞きたいこととはなんでしょうか?」



(光秀)「以外にも、秀吉や政宗のような
妙な光景を見たのかもな……」



(秀吉)「あの黒い煙のことか」



(信長)「何にせよ、さくらが帰ってきたら
全て聞くだけのことだ」



(家臣)「信長様、失礼します」



(信長)「何事だ」



(家臣)「城下町の反物屋の主人が届け物があると仰っています」



(秀吉)「届け物?頼んだ覚えはないが……」



(家臣)「何でもその主人はさくら様に
届けるようにと頼まれたらしく」



(家康)「さくらが?」



(信長)「そうか、大義であった
反物はさくらの部屋に届けておけ」



(家臣)「はっ!」



家臣はそういうと再び反物屋の主人の元に戻った。



(信長)「貴様ら、さくらが帰ってくるまで各々することをしておけ……軍議は以上だ」



(信長以外)「はっ!」



こうして、信長達はそれぞれの仕事につくのだった。

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