天守には信長とさくらだけが残り長い沈黙が続いた。
そして、沈黙を破ったのは信長の方だった。
(信長)「さくら……体に大事ないか?」
(さくら)『はい……大丈夫です
あのとき……』
(信長)「ん?」
(さくら)『あのとき……信長様やみんなの声が聞こえてきました……戻ってこいと』
(信長)「そうか……」
(さくら)「信長様……もう一度愛してると
言って下さい……私はもう信長様を失いたくありません」
信長はさくらを抱きしる。
(信長)「それはこっちの台詞だ
目が覚めれば、貴様が隣で寝ていて
奇跡でも起きない限り目覚めないと聞いたときは心の臓が止まるかと思った……」
(さくら)『信長様……』
(信長)「さくら、貴様の身も心も俺に差し出せ」
(さくら)『はい……もとより、そのつもりです』
(信長)「よし、そういえば
奇妙な空間で貴様の両親に会った
貴様が幼い頃に巫女殺しの頼人と遭遇し
貴様の母親が巫女として対峙したが、力及ばず敗れ、父親が貴様を逃がすため友人のもとに預けたあと力尽きて命を落としたと」
(さくら)『!?』
(信長)「貴様の持っている2つの石はもともと彩香と恭吾のものだったと」
(さくら)『え、だって私は友人に貰いましたよ?』
(信長)「それは、貴様の両親が万が一の事があったときのために貴様の革袋に入れてくれとその友人に頼んだそうだ」
(さくら)『うそっ……』
さくらの目から涙一粒落ちる。
(信長)「短い間だったが、貴様を愛している、そしてすまなかったと……貴様の両親からの伝言だ……」
(さくら)『うっ……くっ……
うわーーーん。・゜゜(ノД`)』
(信長)「さくら、愛している
これからは俺が貴様を幸せにしてやる」
(さくら)『はい!……はい!』
さくらは信長に抱きつき、悲しみを吐き出すかのように泣き出す。
(信長)(貴様は……誰にも明かせぬ悲しみを抱えていたのだな……)
(さくら)『うっ、ひっく……』
(信長)「落ち着いたか?」
(さくら)『ごめんなさい、これからお花見なのに……』
(信長)「気にするな……」
信長はさくらを抱き寄せると……
(さくら)『ん……』
長い口づけをした。
さくらも抵抗せず、信長に身を任せる。
(信長)「さくら……」
(さくら)『信長様……大好きです!愛しています!』
(信長)「俺もだ……さくら、愛している」
さくらと信長はその後、長い口づけを交わした。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!