第5話

軍議
1,082
2021/03/06 11:58
(さくら)(手も足もガタガタ……
馬に乗るってこんなに大変だった
政宗さまは全然平気そう、この時代の人って強いな……)


(三成)「お帰りなさいませ
秀吉様、政宗様」


(さくら)(三成くんは先についてたんだ隣にいる人は初めてみるな

てことは、信長様も中にいるってことだよね)


(三成)「お待ちしておりました さくら様」


(さくら)(癒されるなー、この笑顔
波乱続きだから余計に沁みる……
って、それより)


(さくら)『私、信長様に会うつもりないんですが……』


(?)「弱そうな女……
あんたが月島さくら?」


(さくら)『あ、はい 初めまして』


(政宗)「家康、それで出迎えのつもりか?
笑顔のひとつでも見せてみろよ」


(秀吉)「そういえば、家康が笑ってるとこはあまり見ないな」


(さくら)『え?家康って……』


(さくら)(きっと、徳川家康だよね?)


(家康)「ほんとに体を張って信長様を助けたの?弱くてすぐ死んじゃいそうですけど」


(三成)「あ、さくら様
家康様は政宗様と同じく信長様と同盟を組まれていて……信長様暗殺の報を受けて気が立っておいでなのです」


(さくら)『はあ……』


(さくら)(顔立ちが綺麗な分
冷たくされるとダメージ大きい……でも)


(さくら)『ありがとう……三成さん
でも相手をどう捉えるかは人によって
違うから……それに
言葉で罵られるのはもう慣れてるから……』


(三成)「……!?」

さくらの何とも言えない表情に三成は驚愕した。


(秀吉)「お前なー
そういう態度良くないぞ
人生損するからたまには笑ってみろ」


(政宗)「俺も手伝ってやる」


(家康)「っ……やめてください」


(さくら)(名だたる武将たちがくすぐりあいって……意外と仲いいのかな?
にしても断る間もないよ、どうしよう)


(三成)「……ともかく立ち
話はこの辺にいたしましょう
お部屋を用意しましたのでゆっくりとお休みになられてください

それと私のことは三成と敬語もお止めくださいね」


(さくら)『あ、うん……
あなただけだよ……まともな対応してくれるの……でも呼び捨ては申し訳ないから三成くんって呼ぶね』


(三成)(……さくら様の目には光がない
一体何があったんでしょう)


さくらは三成に案内された部屋で休んでいた。


(光秀)「信長様がお呼びだ
お前の顔を見たいそうだ」


(さくら)『これは?』


(光秀)「身だしなみを整えてから信長様のところへ行け
今のままではあんまりだから月島さくらに持って行ってやれと秀吉に押し付けられた」


(女中)「光秀様
少しの間お部屋の外に」


(光秀)「ああ、そうだな」


光秀が出ていったあと……


(女中)「さくら様は燃える本能寺から信長様を救い出されたとか」


(女中)「なんといさましい方でしょう

お腹がすいただろうと政宗様がさくら様に…自ら握られたのですよ
たいそう信長様やこの安土にご滞在の武将の方々に気に入られているようですね」


(さくら)『ありがとう……ございます
おいしい……!』


(光秀)「おかしな女だ
警戒心というものがないのか」


部屋の外で様子をうかがっていた光秀はそんなことを呟いていた。


翌朝……


(光秀)「昨晩は逃げ切れなかったらしな
お前」


(さくら)『私の名前はお前じゃないです』


(光秀)「ではさくらと呼ぶことにしよう」


(さくら)『うん、その方が少し気がらく』


チュッ!


(さくら)「何を!?」


(光秀)「緊張を解いてやろうと思ってな」


(さくら)『逆効果ですよ……』


(光秀)「それは失礼」


(さくら)(何なのこの人……)


(光秀)「月島さくらが参りました 信長様」


(信長)「遅い、さくら」


(さくら)「すみません……」


さくらは俯き、かつて暴力を振るわれた右腕を強く握る。


(信長)「何を呆けている?そばへ来い
月島さくら 今後貴様はこの城に住み俺に仕えろ」



(さくら)「嫌です」


(信長)「ほう……逆らうか」


(さくら)『どうしてもというなら条件があります』


(信長)「いいだろう、言ってみろ」


(さくら)『本能寺の件で私を守ったバリアのことを話します。その話を信じ他に口外しないと誓ってくださるのなら……その命に従います』



(秀吉)「バリア?俺の刀を弾いたあれのことか?」


(さくら)『その通り、バリアは守りの壁のようなものです』


(信長)「いいだろう、話せ」


(秀吉)「信長様!」


(信長)「良い」


(秀吉)「しかし」


(信長)「口答えは無用だ
良いといっている。」


(秀吉)「は、申し訳ありません」


(信長)「して、その守りの壁の正体はなんだ?」


(さくら)『これです……』


さくらは懐から透明な石を取り出した。


(政宗)「なんだこれ」


(三成)「透明な石のようですね」


(家康)「所々、角がありますね」


(光秀)「だが、綺麗な石ではあるな」


(さくら)『これは、ダイアモンドという日ノ本では採れない貴重なものです』


(信長)「なぜその貴重なものを貴様が持っている」


(さくら)『私が気の許せる友人から貰い受けたものです
もらった当時はこんなことなかったんです
それが……』


(秀吉)「この時代に来た瞬間変わったということか」


(さくら)『それだけではありません』


(信長)「どいうことだ?」


(さくら)『何かしらの力が身に付いたのはこれだけではないということです』


(信長)「勿体ぶらずに話せ」


(さくら)『これは、話すよりやったほうが早いでしょう……信長様、少しでいいのでこの石に手を翳してみてください』


(信長)「いいだろう」


(秀吉)「信長様……やめておいたほうが」


(信長)「この俺がそう易々と死ぬわけなかろう」


信長はそういうとさくらが持っているダイアモンドに手を翳す。
するとダイアモンドの尖っているほうが少し赤くなった。


(三成)「一番したのほうが……」


(光秀)「赤くなったな」


(信長)「どういうことだ」


(さくら)『これは信長様の内に秘める僅かな力を借りたことになります』


(政宗)「信長様の……」


(家康)「力を借りた……」


(さくら)『一時的に……ですけど
あ、お力、お返ししますね』


そういうとさくらは手をかざしその手を信長のほうへスライドさせた。その光は信長にスッと収まり、石は元のダイヤモンドに戻った。


(信長)「なるほどな……貴様の話、信じよう」


(さくら)『ありがとうございます
最後にもうひとつ』


(信長)「なんだ?」


(さくら)『この中で剣術がお得意な方は?』


(光秀)「それなら、政宗がいいのではないか?」


(さくら)『そうですか、では政宗様
私と手合わせお願いできますか?』


(政宗)「政宗でいい、いいぜ?相手してやる」


(家康)「あんた、馬鹿じゃないの?すぐにやられるのがおちだよ」


(さくら)『どう思うかはあなたの勝手だよ
信長様、体を広く動かせる場所は?』


(信長)「道場があるそこに向かおう」


さくらは信長様達を信用させるため道場に向かうのだった。

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