(さくら)『ん……』
さくらは見知らぬ天井で目を覚ます。
(家康)「目が覚めた?」
(さくら)『家康……ここは?』
(家康)「俺の御殿……あんた、結界張ったあと倒れたんだよ」
(さくら)『そっか、倒れたんだ私……』
さくらは手を額にやり、呟く。
(家康)「ありがとう。信長様を救ってくれて」
(さくら)『ううん、どういたしまして』
さくらは優しく微笑む。
(家康)「間に合ってよかった……」
(さくら)『うん、でも本当にすごいのはきっと信長様だよ』
(家康)「どういうこと?」
(さくら)『私が行ったとき、信長様は黒い煙に囲まれてはいたけど、取り込まれてはいなかったの……たぶん自分でも気づかない内に弾いていたんだと思う』
(家康)「そうなんだ」
(さくら)『気づいていたか、いないかは貞かではないけど……』
(家康)「それ、俺達もできるの?」
(さくら)『気を強く持って、心が歪まない限りは邪気は寄ってこない(ーー;)
大丈夫、家康達は強い思いを持ってるから
いざとなったら私もいるし……』
(家康)「そういう意味じゃなくて、女に守られるとかカッコ悪すぎでしょ」
(さくら)『大丈夫だよ、最初はそっけなかったけど今はなんだかんだ言ってみんな、私を守ってくれるし、側にいてくれる……』
(家康)「さくら……最初だけ余計だよ」
家康はさくらの額にでこびんをする。
(さくら)『いたっ、もう……ふふっ
ありがとう、家康と話せてよかった』
(家康)「やめてよそんな顔
そんな顔しても、なにもないから」
(さくら)(・_・?)
(家康)「こっちの話」
(さくら)『そう?んじゃ、私は自分の部屋に行くね』
さくらは自分の部屋に戻ろうとする……
そのとき……
パタパタ……
(さくら)「まさか……」
さくらはゆっくりと襖を開けるとそこには
さくらのふくろう、雫の姿があった。
(家康)「この子……」
(さくら)『うん、雫……あ、足に文が……』
さくらは文をとり、広げる。
そこには信玄の文字で……
「安土の巫女 さくらへ
さくら、今すぐ春日山城に来てくれ
謙信が黒い煙に囲まれていて大変なんだ
今、何とか耐えてる状態だ
安土城には佐助と幸村が向かってる
春日山城で待ってる 武田信玄」
(さくら)『!?』
(家康)「さくら、文にはなんて……」
(さくら)「家康……私春日山城に行ってくる」
(家康)「は?ちょっと待って、どういうこと?」
(さくら)『信玄さんからで謙信さんが信長様と同じ症状になったらしくて春日山城に来てくれって』
(家康)「あんた、病み上がりでしょ!?」
(さくら)『わかってる、でも困ってる人を放っておけないよ!』
さくらは家康の手を振り払い城を飛び出す。
(家康)「あ、ちょっとさくら!
とにかく、信長様にこのことを知らせないと」
家康はさくらが春日山城に向かったことを
信長様に知らせに行くのだった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。