学園長から話を聞いた後、私はスカラビア寮に向かった
コンコン『カリム先輩』
「…あぁ、あなたか」
『まだ、目を覚ましませんか?』
「…」
「なぁ、あなた」
『…はい』
「もし…もしさ、このままジャミルが目を覚まさなかったら…俺はこの先どうしたらいいんだ?」
「分からないんだ、何もかも…」
「酷いと思うかもしれないけど、兄弟が死んだ時、俺、泣かなかったんだ」
「今まで通り笑ってられたし、それが当たり前にすら思ってた」
「でも、何でだろうな…」
「このまま、ジャミルが死んじまったらどうしようって思うと、涙が止まらないんだ…」
「ジャミルには自由でいて欲しい」
「ジャミルが望むのなら永遠に会えなくてもいい」
「でも、死ぬのはダメだ」
「どこかでずっと生きてて欲しい、笑ってて欲しい」
「欲を言うなら今まで助けてくれた恩を返したい」
「…一生かけてでも返せないかもだけどな、」
『…大丈夫ですよ』
『私が必ずジャミル先輩を助けます』
『そしたら…』
『またみんなで宴でもしましょう』
「…うん、」
「ありがとな、あなた」
『いえ』
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。