『え…?』
『ジャミル先輩が目を覚まさなくなった…?』
「えぇ、昨日からずっと」
『昨日からずっとって…カリム先輩は?』
「アジームくんにはバイパーくんがいつ起きてもいいように介護を任せています」
昨日からずっと目を覚まさない、?
そんな事可能なの?
『…それで、私に調査をして欲しいんですね?』
「さすが監督生さん!話が早くて助かります!」
「今までのような小さな事故ならまだしも、生徒が目を覚まさないなどというのであれば、どうしても私も加わらなければなりません」
「ですが、私には学園長としての仕事もあります」
「というか、どうしても分からないのです」
『分からない…?』
『それは、目を覚まさない理由が…という事ですか?』
「はい、今まで調べて分かったのはバイパーくんは“夢に閉じこもっている状態”という事だけです」
『夢に閉じこもっている状態…?』
「簡単に説明すると、自分では夢から出られないという事ですね」
「夢というのは本来、現実がもつ確かさがない事…つまり見分けが着きません」
『つまりジャミル先輩は幸せな夢を見ていて、戻りたくないという意思が強いって事ですか?』
「それもあるのでしょうが…」
「とにかく、今はバイパーくんを目覚めさせる事が最優先です」
『分かりました』
「…ところで、グリムくんは?」
『クルーウェル先生の授業でやらかして補習中です』
「…」
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。