それから親は、毎日怯えるみたいに過ごすようになった。
最初はその理由が全然わからなかったけど、元々知り合いだった五条さんが教えてくれた。
うちの親は、本家に私のことが伝わらないよう、頑張って隠していたらしい。
決して目立たないように。
不自然さが無いように。
だって、バレたら私は、本家に連れていかれてしまうもの。
親は意地でも私を手放したくなかった。
それを聞いた時は、そりゃ凄く泣いたなぁ。
でももうそれも時間の問題。
きっと数ヵ月後には、私は加茂家の本家になっているはず。
加茂あなた。
なんて不穏な響きだろう。
でも、それは仕方の無いこと。
心の中で割り切ってる。
だから、この一瞬一瞬を大事にする。
自由な今を。
正直言って、高専に入った時点でゲームオーバー。
バレるに決まってた。
親にも散々反対されたけど、別に良かった。
親が…お父さんやお母さんが、あんな風にこれからも生きていくより、ずっとマシだ。
私は自分の血の巡りを良くし、スピードを速める。
あのドロドロが体に付いて、動きにくい。
でも、ここで負ける訳にはいかないんだ。
そう。精神を統一しろ。
あの核とみられる部分目掛けて。
その呪霊は祓われた。
面倒なので、とりあえず五条さんに電話をしておこう。
私は学校へと向かった
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。