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第13話

一途、深み、
37
2018/06/15 22:25
自分のせいって、辛い。

誰にも邪魔されない生き方は、
誰にもできない。


( 水沢ミコトは、二股してたってことだ! )

えーっ!
という声と、ざわざわというどよめき。


生徒二人に腕を掴まれ、
動けないし怖い。
水沢 ミコト
水沢 ミコト
ちがっ…ちがう!
水沢 ミコト
水沢 ミコト
ちがうの、私は、長谷川くんと
デートなんてしてない…!
____________________________________________
夛川 晴大
下でなんかやってるぞ
長谷川 凜斗
長谷川 凜斗
え?……水沢!
夛川 晴大
本当だ…行かなくていいのか?
長谷川 凜斗
長谷川 凜斗
……行ってくる
そこには、生徒二人に
腕をつかまれた彼女がいた。

他の生徒たちに囲まれ、
どうしても入れない。
水沢 ミコト
水沢 ミコト
ちがうの、私は、長谷川くんと
デートなんてしてない…!
長谷川 凜斗
長谷川 凜斗
えっ……
まさか、自分のことが
絡んでいるとは思わなかった。

なんとかして
誤解をといて、彼女を助けたい。

君は、倫也の婚約者なのだから。


でも、前に行けない。
自分の心も、前に進めないんだ。

______________________


( うるせえ!水沢ミコトを
この学校から追い出す! )
水沢 ミコト
水沢 ミコト
えっ……
私は、この学校を
自分から辞める前に、
追い出されるんだ。
水沢 ミコト
水沢 ミコト
まって…!
私は、校長に退学届をだした。
だから、もう離して…
( おい、みんな聞いたか!
水沢ミコトは、この学校をやめるそうだ。
じゃあ最後にこの学校を荒らした責任を
とってもらおう… )
水沢 ミコト
水沢 ミコト
え…?
長谷川くんも
助けに来れない。

波花も蒼も漣も
来れないんだ。

なら、自分で人の恨みが
晴らせるなら、それでいい。
鈴峰 倫也
鈴峰 倫也
……っ
水沢 ミコト
水沢 ミコト
倫也くん…!
数秒待ったけど、
誰かの気配がして目を開けた。

倫也くんが
私の腕をつかむ生徒たちを
倒しているところだった。
鈴峰 倫也
鈴峰 倫也
ミコトに責任?
ふざけるな、女の子に
手をあげようとするなんて。
責任をとるのは
君たちだろ !
( なんだと…! )

私の隣から離された男子生徒は
倫也くんに、反撃しようとした。

倫也くんはそれを避けて、
生徒たちは倒れ込んだ。
鈴峰 倫也
鈴峰 倫也
ミコト、大丈夫?
遅くなって、ごめん…
水沢 ミコト
水沢 ミコト
倫也くん…
名前を呟けることにほっとした。

目の前に倫也くんがいること、
ありえないのに、現実のこの様子が
とても安心した。

生徒たちが去ってから、
安心して、意識が遠くなった。

______________________
長谷川 凜斗
長谷川 凜斗
水沢…!
鈴峰 倫也
鈴峰 倫也
凜斗、気づいてたのか
この騒動
長谷川 凜斗
長谷川 凜斗
……
前に進めなかった。
自分の体も、心も。


彼女には、倫也がいるんだ。
俺は、必要ないんだ。

だからもう、身を引こう。
水沢 ミコト
水沢 ミコト
……
鈴峰 倫也
鈴峰 倫也
凜斗、ミコトに気があるなら
あるなりに、何かやれよ…
ライバルとして失望した
長谷川 凜斗
長谷川 凜斗
……
何も言い返せなかった。

本当にそのとおりだ。
自分は何もしてやれなかった。

諦める。

彼女は下を向いて、何も言わなかった。

倫也は、彼女をお姫様抱っこして
学校を出ていった。

______________________


倫也くんに車まで運ばれている間に、
意識が復活した。
水沢 ミコト
水沢 ミコト
…倫也くん、どうして?
鈴峰 倫也
鈴峰 倫也
え…?
水沢 ミコト
水沢 ミコト
どうして、来てくれたの?
鈴峰 倫也
鈴峰 倫也
俺の尽くす人は、
ミコトしかいないから、
かな
水沢 ミコト
水沢 ミコト
……
私が、言った言葉だった。
鈴峰 倫也
鈴峰 倫也
俺は、ミコトに言われた通り
大好きな人に尽くそうと思って、
ここに来た
水沢 ミコト
水沢 ミコト
ごめん…
鈴峰 倫也
鈴峰 倫也
ミコトになんて言われても、
解消する気なんてないよ
校長にも、話をつけた
水沢 ミコト
水沢 ミコト
……ありがとう本当に
倫也くんは、素晴らしい人だ。

素晴らしい、婚約者だ。


別れを告げてしまって、
できなかった、波花と考えた
あの作戦を実行しよう。

大好きな、尽くしたいこの人に。

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