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2018/06/14

第11話

決意、愛情、その裏返し。
私は、今まで中途半端に生きてきた。

なにがあっても、頼れる人たちがいる。

信じてくれてる人がいるから
大丈夫だ、って。


でも永遠にそうはいかない。
いつか他の誰かに
自分の自由を持っていかれるんだ。


だから自分で決断する。
自分の存在を保つために。
自分の大切な家族のためにも。
自分の大好きな、
愛する人のためにも。

倫也くんとも、蘭ノ園とも
別れを告げる。
それが私の決意。


自分のせいで
私の大切な人が傷ついたり、
重荷になったりするのは
私が一番嫌なことだった。
トントン…
水沢 ミコト
水沢 ミコト
失礼します
校長
( 水沢くん、朝からどうしたんだね。
例の、婚約の件かな? )
水沢 ミコト
水沢 ミコト
すみません、はい
そうです、それを話に
( そうか…言っておきたいことがあるんだな )
水沢 ミコト
水沢 ミコト
私は、鈴峰倫也くんと
婚約してました。
秘密にしていてすみません。
これを…これを受け取ってください
( この学校を、出ていくことにしたんだね。
私は、生徒の意見を尊重したいと思います。
それで、いいですか? )
水沢 ミコト
水沢 ミコト
はい。
もう私のせいで
大切な人を傷つけたくないので
( わかりました、預かっておきます。 )
水沢 ミコト
水沢 ミコト
…失礼しました
私は今日、授業に出るのはやめた。
噂で波花たちを傷つけたくなかった。

一人で、教室に背を向けて歩いた。
長谷川 凜斗
長谷川 凜斗
み、水沢…!
水沢 ミコト
水沢 ミコト
長谷川くん?
な、なにしてんの
授業始まっちゃうよ?
長谷川 凜斗
長谷川 凜斗
いやあ、朝練してたら
時間過ぎてて…
そっちこそ、
これから始まるのに、
まさか忘れ物でも?
水沢 ミコト
水沢 ミコト
い、いや、ぐ
具合が悪くて、ごめん
もう行くね
長谷川 凜斗
長谷川 凜斗
あぁ、そっか
悪い、俺も行く
水沢 ミコト
水沢 ミコト
うん、頑張ってね
長谷川 凜斗
長谷川 凜斗
水沢…!
気をつけて!
水沢 ミコト
水沢 ミコト
うん…
一つ、嘘をついた。

大切な人を傷つけたくない嘘を。

この嘘と一緒に、
私は蘭ノ園を出た。
倫也くんに電話をかけた。
水沢 ミコト
水沢 ミコト
もしもし
鈴峰 倫也
鈴峰 倫也
もしもし、ミコト?
水沢 ミコト
水沢 ミコト
話したいことがあって。
放課後、倫也くんの家の
ロビーに行ってもいい?
鈴峰 倫也
鈴峰 倫也
うん、いいよ
待ってるね
いつもどおりの、
落ち着いた、聞きやすい低音。
世に言うイケボという声だ。


倫也くんに、別れを告げる。
今日この日、人生で
一番嫌いな日になるだろう。

大好きな人に、さようならって
言えるのだろうか。
そんなこと、私は言えるのだろうか。


一旦家に帰った。

( お嬢様、鈴峰様からお届け物です。)
水沢 ミコト
水沢 ミコト
わあ…!
開けたら、倫也くんからの
プレゼントが入っていた。

とても嬉しかった。
同時に悲しかった。

今から、別れを告げに行く
相手からのネックレス(プレゼント)は、
冷えきって、物悲しく思えた。

私はこれを、受け取れないんだ。

私はこれを手にして、
私の決意を、愛する人に伝えに出た。

鈴峰 倫也
鈴峰 倫也
ミコト…!
水沢 ミコト
水沢 ミコト
倫也くん、こんにちは
鈴峰 倫也
鈴峰 倫也
こんにちは、
座りなよ、ここ
水沢 ミコト
水沢 ミコト
いや、私は立って話す
鈴峰 倫也
鈴峰 倫也
…そう、あっ、
話したいことって何?
水沢 ミコト
水沢 ミコト
……
私の、初めてかもしれない、
自分で決めた、自分の決意を
一番の人に伝える。
水沢 ミコト
水沢 ミコト
倫也くん、
私と別れてください…
伝えたくない一言。
鈴峰 倫也
鈴峰 倫也
えっ……?
えっと、
理由は?聞いてもいいかな?
理由、そんなの単純だった。

倫也くんのこれからを守りたい。
水沢 ミコト
水沢 ミコト
…単純に、倫也くんが
嫌いになった…
鈴峰 倫也
鈴峰 倫也
………
一番つきたくない嘘。
言いたくない嘘。

でも、つかなきゃいけなかった。

今まで倫也くんに
とことん優しくしてもらって、
弱っちい私を許してもらって。

私のことなんか、すぐに
諦めて、どこか他にいる、
大切な人に尽くしてほしい。
水沢 ミコト
水沢 ミコト
それに、倫也くんの隣は、
釣り合わないよ。
絶対他に誰かいる。
これからは、倫也くんの
大切だって思う人に
とことん尽くしてください
座って私を見上げる倫也くん。

目を見て、時々そらして、
それを繰り返すわたしたち。
鈴峰 倫也
鈴峰 倫也
……そっか、
わかった。ありがとう
水沢 ミコト
水沢 ミコト
うん。じゃあ、さようなら
鈴峰 倫也
鈴峰 倫也
うん、さようなら
今すぐ抱きつきたいもどかしさで
胸が苦しくなった。

笑顔になりきれなかった
笑顔で、さようならをした。


倫也くんは表情を変えなかった。

そのまま、私から聞いたことを
受け流していた。


ロビーを出るとき、ふりかえると
倫也くんの後ろ姿が見えた。
背が高くて、優しそうな後ろ姿。

水沢 ミコト
水沢 ミコト
大好きだったよ…
涙が溢れて止まらなかった。

息苦しくなった。

執事の古葉さんに連絡して
車に乗った。