『それだけ』の意味がわからない。
いれかわるなんて、そんな非現実的なこと。
うん、本当にわからない。
漫画の世界か、アニメの世界か。
私は彼に手を取られ、変な声を出してしまう。
別に私がおかしいとかそんなんじゃないんですよ、はい。
免疫がないんだから仕方がないじゃない。
呆れ顔の彼から、私は目を背けた。
凄く、暑い!
なんか向き合って両手を握られてるし。
きっと顔が赤くなっている気がする…。
何故かニヤリとした彼がこわかった。
私は何か嫌な予感がして、目をぎゅっと閉じると、何か手が暖かくなった気がした。
彼のその声で、はっとして、
目を開けた私の前には…、、、
私の前には……、
私が…いるんですがっ!!!
本当に私だ。
鏡じゃなくて、写真でもない私自身を初めて見た。
これは…誰が見ても『委員長』だなぁ。
主観的だが、客観的な見方ができた気がした。
…って、そうじゃなくって!!
私の姿の、彼が話している。
ややこしい…。
私は、彼の『能力』という発言が気になってたまらなかった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!