第2話

序章
137
2019/05/25 11:25



ラブレター



私は送りたい相手がいる。









私は厳しい家庭で育った。


プレッシャーしか感じなくなった家。


海外出張で家帰ってこれない父親に、
とにかく厳しい母親。


それでも、愛情ぐらいは、

もらっていたと思う。






いつからだろうか。

たぶん、私が中学受験に失敗した時だ。

母親は私を見るたびにため息を吐くようになった。
最初の方は辛かったけど。



今じゃ、何も思わなくなった。


メールとか、電話とかじゃなく、
ラブレターを、送りたい理由は、


スマホを母親に見られるから。
気をつけていても、いつ見られるかわからない。


バレれば、家から追い出されるだろう。


いや、一生、閉じ込められるかもしれない。












私は今日も真面目な皮をかぶる。

自分を押し殺して。




誰かが見つけてくれるのを、

密かに期待しながら。

プリ小説オーディオドラマ