第14話

真実
101
2019/06/02 13:01
戸田 颯斗
戸田 颯斗
凛子の事が大好きなんだ。
林原 凛子
林原 凛子
なっ!
彼は小学校に上がるタイミングで引っ越してしまったらしい。


高校で私を見つけた時は嬉しかったらしいのだが、、
戸田 颯斗
戸田 颯斗
俺のこと忘れてるんだもん!

彼はそう言って思いっきり膨れた。
昔から変わってないな。


私の中に溢れ出したしまっていた記憶は、彼を引き寄せてくれた。
昔の彼も今の彼も、顔がいいのには変わりない。
戸田 颯斗
戸田 颯斗
あ、それでさ、長谷が俺の能力を知ってた理由は、長谷も能力者だから。
林原 凛子
林原 凛子
え!!
それから全てを聞いた。
長谷さんの『ひみつのぞき』の能力も。


能力には発動する『条件』があることも。








そして、『いれかわり』の能力は、

『恋い焦がれる相手』にしか使えないことも。
戸田 颯斗
戸田 颯斗
でさ、凛子、付き合ってよ。
林原 凛子
林原 凛子
きゅ、急に、、!!
突然の告白にフリーズしてしまった私は、なんとか声を絞り出した。

やっと出た言葉はどもっていて。

『急に』の一言しか言えなかった。
林原 凛子
林原 凛子
でも、戸田くん、
私はまだ、青葉くんのことに頭が追いついてなくて。
戸田 颯斗
戸田 颯斗
あー、青葉ね。

青葉くんは相当な遊び人だった。
確かに、毎回隣にいる女子は違ったなあ、と思い出す。

青葉くんのことは凄くショックだ。

そんでもって、彼の告白に即座に応えることはできなかった。
林原 凛子
林原 凛子
それに、私まだショックで…。
申し訳なさそうに答えれば、彼は私の額にまたもやキスを落とす。

一瞬閉じた目を開ければ微笑む彼が目の前に。
戸田 颯斗
戸田 颯斗
いいよ、待つから。
君が振り向くまで待つよ。

優しいその声は私を溺れさせてしまいそうで。

私はぎゅっと、両手を握り合わせた。
戸田 颯斗
戸田 颯斗
おじいちゃんになってもね!


彼は悪戯っ子のような笑顔ではにかんだ。
私もつられて笑顔になってしまう。

ああ、ありがとう。


私といれかわってくれて。




















***颯斗side
俺が『能力』を手に入れて12年ほどとなる。

『能力』を、『いれかわり』の力を手に入れたのは最愛の母を亡くした時だった。


その時付き合っていた彼女と、両手を繋いだ時にいれかわったのが、最初だった。


そしていれかわるためには条件があることも次第にわかっていった。
『恋い焦がれる相手』




付き合っていた彼女といれかわれなくなったことが最大の証拠で。


それほどからだった、俺は昔『恋い焦がれていた』相手を思い出し始めたのは。

顔もうろ覚えの相手だったが、どんどん記憶は蘇っていき、高校の入学式で見つけた時は、俺にとって『恋い焦がれる相手』だった。


『恋い焦がれる相手』が青葉を好きなことも、見ていればわかった。

だから『いれかわらないか』と話しかけた。

『きっかけをつくる』と言い寄った。



今となっては本当に『恋い焦がれる相手』なのか確かめたかったかもしれない。
だけれどあの時は、『恋い焦がれる相手』に話しかける材料が欲しかっただけなのは確かな事。
花嫁
颯斗くん。
花嫁
準備できたよ!

俺の愛しの花嫁に声をかけられ、俺は部屋に入る。
そこにいたのは純白のウエディングドレスを纏った美しい愛する妻の姿。

見入ってしまった。
しばらくフリーズしてしまったのは普通のことだろう。


こんなに華麗な人が妻だなんて。
勿体無いくらいなのだから。
戸田 颯斗
戸田 颯斗
なあ、俺のこと好きか確かめたいからいれかわっていい?
花嫁
えー、嫌だよ。
そんな事で確認しなくても大好きだよ。

顔を赤らめた花嫁は、俺の目をしっかりと見て言った。

俺に舞い降りた『いれかわりミステリー』



それが俺らを引き合わせた。
戸田 凛子
戸田 凛子
颯斗くん行くよ?
みんなが待ってる。
戸田 颯斗
戸田 颯斗
ああ、凛子!

いつまでも俺は『恋い焦がれる』

おじいちゃんおばあちゃんになっても。
死ぬまでずっと。


いや、天国でもずっとーーー。







ーーーーend

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