俺と由紀は、
駆けつけた警察によって保護された
それからは、
病院に送り込まれるわ、事情聴取されるわで
散々だった
特に事情聴取は面倒だった
当然、全て本当のことを伝えられる訳もなく
何とか誤魔して乗り切った
話によると、
襲ってきた不良グループの連中は
どうやら無事に逮捕されたらしい
奴らは他にも同様の事件を起こしていると見られていて
警察も目を付けていたのだという
だいぶ前から彼らの素行は問題になってたみたいだ
𓂃◌𓈒𓐍𓂃◌𓈒𓐍𓂃◌𓈒𓐍𓂃◌𓈒𓐍𓂃◌𓈒𓐍𓂃◌𓈒𓐍𓂃◌𓈒𓐍𓂃
ようやく帰してもらえる事になり、
俺と由紀は病院の1階ロビーまで降りてきていた
遠くから、よく通る女の人の声がする
俺は2人の相変わらずの様子を見て
ふふっと笑う
2人の後ろに父さんの姿が見える
仕事帰りなのか、スーツ姿だった
父さんはふわりと笑う
𓂃◌𓈒𓐍𓂃◌𓈒𓐍𓂃◌𓈒𓐍𓂃◌𓈒𓐍𓂃◌𓈒𓐍𓂃◌𓈒𓐍𓂃◌𓈒𓐍𓂃
ーーーー
ーーー
ーー
俺と父さんは
由紀達と病院で別れて
車が停めてある駐車場に向かって歩いていく
父さんは心配そうに俺の方を振り向く
どうやら俺は、アイツらをボコった時に
指の骨にヒビを入れてしまったらしい))泣
今は包帯で手をグルグル巻にされて、
ボクシングのグローブみたいにされている
父さんはヘラりと笑う
(人の気も知らないで…💢イラッ )
………………………………………………
…………………………俺
口、滑らせてしまったかも…💧
父さんは俺の言葉をずっと待ってくれてる
信じてくれないかもだけど、ホントの事なんだ…
言うしかない
それに、父さんには知っていて欲しい…
もうそろそろ、俺らの車を停めてある場所に着きそうだ
周りを確認する
(ここなら、あまり人目につかないはず…)
俺は心を決めた
俺は立ち止まってそう言う
セトが物陰からひょっこり顔を覗かせる
耳をピクピクと動かす
トコトコと歩いてくると父さんの目の前に立つ
セトには、バレたら色々面倒だからといって
隠れて貰っていた
しっぽをフリフリしてセトがそう言う
父さんはセトを見つめて目を丸くさせている
セトははしゃいでいる
_____バタン、
__________ブオオン_
車が発進する
セトは初めての車に大興奮の様子だった
𓂃◌𓈒𓐍𓂃◌𓈒𓐍𓂃◌𓈒𓐍𓂃◌𓈒𓐍𓂃◌𓈒𓐍𓂃◌𓈒𓐍𓂃◌𓈒𓐍
しばらくすると、ある場所に着いた
うわぁ……スゲー……
星めっちゃ見える✨
父さんはとても嬉しそうに話していた
景色が綺麗すぎて、俺はじっと見とれてしまう。
(なんだろう……目が離せない… )
(危ねぇー、忘れるとこだった… )
俺は今まで起こったこと、
全てを父さんに伝えた
セトとの出会いや予言の事、契約の事…………
母さんが俺たちを守ってくれたこと………
父はずっと黙って聞いていてくれた
話し終わると、
父さんはそう言ったきり黙り込んでしまった
____バッ
父さんが俺を抱きしめる
優しく頭を撫でられる
そんなことすんなよ……
せっかく我慢してたのに……
涙が留めなく溢れ出す
少し冷たい風がふわりと駆け抜けていく
涙の滴がスっと冷やされる
_____ピカッ
セトがふわりと白い光に包まれている
______ピカッ
そう言うと、今度は青い光に包まれる
その青い光はどんどんと形を変えていく
セトは青い光に包まれると、母さんの姿になっていた
母さんは何も言わずふわりと笑う
すると、青い光と共に少しずつ消え始める
母さんはそれでもどんどん消えていく
母さんの懐かしい声が胸の中で優しく響いた
セトの声も響いてくる
そうして青い光は消えてしまった
空を見上げると、満天の星空が広がっていた
今日の星空は…
一生、忘れることは出来ないだろう
俺は心に誓う
強く生きると___
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!