《あなたside》
勢いで飛び出してきてしまった…
またあたしは同じことを繰り返してしまった
また捨てられてしまう
次は何処に行こう。もうあそこには戻りたくない…
捨てられてしまう…嫌だ。
もう、お金の為に自分を捨てたくない…。
あたしは気づいたら必死にエイジの腕を引っ張っていた
そう言ってエイジは泣いているあたしを慰めるように抱き締めた。
好きでもない男に優しくされて、抱き締められる。
いままでこんなの当たり前で体温なんて感じなかった。気持ち悪かった
でも…
いまはあなたの体温を感じるの。
誰かに抱き締められているのが心地良いなんて初めて思った。
ずっとこの胸の中にいたい。そう思った自分を必死に抑えつけた
それでも溢れてくる
貴方になら
全て託して話してみてもいいかな
なんて思った
続く 。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!