「このハイツの2階の205号室でしたね」
“ピンポーン”
205号室の前に立った千色はインターホンを押した。
「すいませ~ん。角田ツノダさん いらっしゃいますか?」
その問いかけに男は(何を白々しい・・・)と思いながらも反応しなかった。
「それでは 海原さんはドアの前で 早見さんは 少し離れた場所で監視しててください。まだ犯人が中にいる可能性があるので・・・」
「はい」
早見と海原に監視を頼むと
「僕は少し調べたいことがあるので この場を離れます。何かあれば連絡してください」
そういうとライオンズハイツを後にした。
(何?監視だと!?フッフッフッ 無駄なことだ。
“あの策を使えば有利なのは一目瞭然だ。その時が来れば僕は ここから出られる)
ドアの側で笑みを浮かべた。
この状況のまま時間は過ぎていき
「早見さん・・・。犯人の狙いはなんでしょうね?」
海原が早見に問いかけた。
「う~ん ・・・」
腕を組みながら考える早見・・・。
その時 1人の男が倒れた
“バタッ・・・”
「!!? えっ?おい!海原!大丈夫か?」
そこには顔面が真っ青になった海原が倒れていた。
慌てて脈を確認する。
「・・・無い」
そして 千色に連絡をした。
プーップーップーッ
だがこの時 千色と連絡が取れなかった。
「くそッ!なんでだよ!」
早見はショックと苛立ちの涙混じりの声を出した。
その時・・・“ガチャッ”
ドアの鍵が開き ゆっくりとドアが開いた。
“スタスタ・・”と足音はするが見ることはできなかった。
「!!・・・」
早見は驚きのあまり言葉がでなかった。
その場には深い沈黙と海原の亡骸しか残らなかった。
堂々とした顔で歩く男。
(よし!計画通りだ。あとは・・・)
そう呟きながらライオンズハイツを去って行った。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。