あぁ、この子は今までどんな人生を送ってきたのだろう。
きっと平凡な生活をしていた僕たちには分からない苦しみの中で、
もがきながら生きてきたのだ。
この子は普通の人の百万倍も辛い人生を経験している。
何年経っても僕たちには絶対に背負えない悲しみを抱えて。
自分がこんなこと言ってるなんて、思いもしないだろう。
弱っている時にだけ見せる、あなたの本当の姿。
喧嘩しているときとは別人のように、小さく見える。
返事はないが、微かに微笑むあなた。
あなたが寝たところで、僕は雑炊を作った。
少ししてあなたが起きて、二人で雑炊を食べる。
僕に言い返せるくらい元気になったらしい。
まだ顔色が悪いから、やっぱり薬は必要だ。
僕は最終手段を使うことにした。
これは片思い中の人に使うのはかなり勇気のいることだ。
僕は水と薬を口に含み、あなたに向き直った。
(皆さんお察しできましたか?)
僕はあなたの肩を掴んで、あなたに顔を近づけた。
そして自分の口に含んでいた水と薬を、あなたの口へと移した。
(分かりましたね?正解は口移しですよっ!!(鼻息))
あなたは勢いでそれを飲み込む。
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。