そこで口を開いたのが、ヌナだった。
やっぱり僕のヌナだ。分かってる。
初めて母さんに無理強いを言った。(これ無理強いって言わなくね?)
こうして柔道を始めた。
自分で言うのもアレだけど、僕は伸びが早かった。
中学3年生まで続けると、大人相手でも勝てるくらいにはなった。
さすがに強い大人には負けるけどね。
高校生になって柔道は辞めた。
勉強と部活に集中したかったから。
これが僕の過去。
暗いものではないでしょ?
喧嘩している人を見ると、すぐに止めに入りたくなる。
でも喧嘩は一回しかしたことない。
中学生かな?いつだかヌナの元彼さんがヌナにつきまとっていたとき、
ヌナが泣いていたから、元彼さんと喧嘩してしまった。
まぁまぁ強かったんだろうけど、柔道やってたおかげで余裕だった。
その頃はまだ、大切な人が家族や友達だと思っていた。
今もそうだけど、今は誰よりあなたが大切な人。
そのあなたが頭から血を流している姿を見たら、自分の怒りが頂点に達した。
ねえ、大切な人を守るためには、喧嘩しても大丈夫だよね?
あのとき柔道を勧めてくれたヤンキーのお姉さん。
お姉さんのおかげで、本当に大切な人を守れるみたい。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。