緊張しているのか、表情が硬いあなたちゃん。
話が終わるとすぐに、下を向いてしまった。
先生の言葉に、みんながダラダラと教科書をだす。
嘘でしょ……この子しっかりしすぎてて怖い。
いや、作者も書きたかったんじゃない?
教科書見せるために机くっつけるみたいなの。
授業でも、あなたちゃんはしっかりしていた。
自分から手を挙げることはないけれど、当てられたらすぐに答える。
近くの席の人が消しゴムを落としたら、無言で拾って渡す。
僕はまるで、ロボットを見ているかのようだった。
あなたちゃんがロボットに見えたのは、行動だけではなかった。
笑うこともなく、明るくなることもない表情。
たまに外を見つめる、光のない真っ黒な目。
人間らしさが見えるのは、話したときに見える表情だけだった。
オドオドして、緊張した話し方。
それでも僕には、あなたちゃんが誰よりも魅力的に見えた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!