あなたside
登校中
私はバスケのキーホルダーを片手で顔の前に持つ。
そしてニヤける。
穂希は現在彼氏がいます。
でも最近仲が悪くなってきたみたいで…
前まではバカップルぐらいの仲の良さだったのに
私はキーホルダーを制服のポケットに突っ込み、学校へ向かって走った。
振り向いて穂希に手を振る。
そしてもう一度走り出す。
学校に着いた私は
保健室を覗いてみた。
さすがに朝練で怪我して来ないかなって思って中に入ったけど…
やっぱり朝はいないんだね。
朝から走るってきついなぁ〜
ちょっとベッドで横になろ。
横になると眠くなることをわかってて
朝から学校で寝た。
保健室ってやっぱり落ち着く〜…
その時、夢なのか…現実なのか…
誰かの声が聞こえたんだ。
どんどんその声が大きく聞こえて
とうとう私の目の前にいるんじゃないかってぐらい
近く感じた時だった。
ベッドのカーテンがサッと音を立て開く。
その音にゆっくり目を開けた。
私は一瞬心臓が止まった。
そして心臓が飛び出そうなぐらい音が高鳴った。
私の身体が全身が一気に熱くなる。
先輩は何も見てないからというように
私に背を向けた。
私は飛び起きて、髪を手ぐしで直し、
ベッドから離れ、
救急箱を取り出した。
保健室はいつも来てるし、先生がいない時はだいたい私が治療してるんだ。
すごく緊張して平野先輩の顔なんか見ることできなくて
ただガーゼや消毒液に集中するしかなかった。
そっと先輩の腕を触る。
こんなに筋肉質なんだなって思うと
余計に緊張して手が震える。
緊張して無駄な力が入り、先輩の傷へ消毒液がしみたガーゼを押し当てた。
慌ててガーゼを離し、濡れてないガーゼを傷口に当てた。
今にも泣きそうになるくらいまで
涙がすぐそこに来てる。
それでも先輩は自分でやるからいいって言わなかった。
私はガーゼをテープではった。
平野先輩は私の方をポンポンと優しく叩いた。
平野先輩は何かを思いついたように制服のズボンのポケットから何かを取りだし、差し出してきた。
私は制服のポケットの中を慌てて探る。
平野先輩の手のひらには
バスケのキーホルダーがあった。
私は両手を広げると、平野先輩はその上に優しくキーホルダーを置いた。
ちょっと手が触れただけなのにドキドキする…
よ、よ、呼び捨てっ!?
急に呼び捨てされたらやばいからぁ〜っ!///
やば、
変な声出た…
こんなに親しくしてくれるもんなのかな…
私、いつか平野先輩のファンに殺されたりしない?
まぁ…そんなこといくらなんでもしないか笑
にしても…仲良くなりすぎかな?
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!