第16話

16時限目
768
2019/10/12 16:47
あなたside



ここはどこなのか分からなくなるくらい

自分を失ってしまうくらい

ひとりぼっちが嫌い


すぐ帰ってくるからね

それだけを言うと大好きな両親が姿を消した


私が小学1年の時

その日は大雨で雷もなってた



一人暮らしのおばあちゃんが心配で

両親が家を出た


もちろん、私もついていく予定だった


おばあちゃん家はそんなに遠くなくて

車で10分もかからないくらい


すぐ帰ってくるなら…って思って1人でお留守番してた


だけど…両親はいつまで経っても帰ってこなくて

強い雨と強い風と強い雷が余計に私を不安にさせて

私は寂しくなって、呼吸が荒くなって、泣き出した

その時に私を支えてくれてたのが親友の穂希だった

穂希はひとりぼっちの私の背中を優しくさすってくれて

大丈夫、大丈夫って声をかけてくれた


穂希の家はすぐ隣で、両親が穂希のお母さんに

あなたが1人で留守番してるからって声かけてったらしい
それで穂希と穂希のお母さんは私のとこに来てくれた


1本の電話が鳴り響いた


穂希のお母さんが出ると

涙を流しながら電話を切った































紫耀
紫耀
あなたっ…!!

誰かが私を呼んでる…
わたし
…先輩っ…?
紫耀
紫耀
大丈夫か!?

あの日のことを思い出してしまったせいなのか

やっぱり私はしゃがみこんで泣いていた
わたし
先輩ぃ〜っ(泣)
紫耀
紫耀
…ごめんな、ひとりにさせて

泣き崩れている私を優しく包み込んでくれた
紫耀
紫耀
もう大丈夫だからな…俺がずっとそばにいてやるから

その言葉はどこか焦ってて

もう離さないからって言ってるようにも聞こえた
わたし
先輩…ごめんなさい…(泣)
紫耀
紫耀
えっ?
わたし
私、迷惑ばっかかけて…
紫耀
紫耀
いんだよ、迷惑かけても
わたし
紫耀
紫耀
俺が全部面倒みてやるから
わたし
先輩っ…(泣)
紫耀
紫耀
あぁ…もう泣くな!笑
わたし
ごめんなさいぃ〜(泣)

ねぇ平野先輩


私、平野先輩と付き合ってなくても

ずっとこうやって近くに、そばにいてくれるなら

このままでもいいです



紫耀
紫耀
もう…泣き止んだか?
わたし
はい…ごめんなさい
紫耀
紫耀
いや、大丈夫笑
海人
海人
平野先輩!?

あとから走ってきた海人くんが心配そうに見つめる
紫耀
紫耀
なんだよお前、ついてきてたのかよ
海人
海人
ごめんなさい…って!あなた先輩なんで目が真っ赤っかなんですか!?
海人
海人
もしかして泣いてたんですか…?
紫耀
紫耀
当たり前だろ!お前が家まで送らねぇからだろ!てか、普通女子を家まで送って当然だろ!?
海人
海人
え、どういうことですか?
紫耀
紫耀
だから…あなたが幼いとき、ひとりぼっちの時に両親亡くしたから、ひとりぼっちが嫌いなの!わかるか?
海人
海人
えっ、そうだったんですか…
わたし
ごめんね、私、言ってなくて…
海人
海人
そ、そんな!あなた先輩が謝ることなんてないですよ!
紫耀
紫耀
とにかく…今日のとこは俺が送るからお前は帰れ
海人
海人
嫌です!
紫耀
紫耀
は?
海人
海人
あなた先輩にひどいことしちゃったんで今日は僕も送らせてください!
紫耀
紫耀
いや、2人もいらなくない?
海人
海人
いりますよ!あ、僕が送るんで平野先輩が帰ってくださいよ〜
紫耀
紫耀
なんで俺なんだよ!てか、お前一人に任せれると思ってんのか?
海人
海人
任せれま…
わたし
もうやめて笑
紫耀
紫耀
え?
海人
海人
え?
わたし
3人で帰ればいいし…あ、それか私穂希と帰ろうかな?
紫耀
紫耀
いや、
海人
海人
それだけはやめてくださいよ!
海人
海人
僕があなた先輩と帰ってることバレたらまた殴られます!
わたし
いや大丈夫だよ笑
そうなったら私が海人くん守るし笑
海人
海人
守るだなんて!
紫耀
紫耀
もうやめろ!
海人
海人
え?
わたし
どうしたんですか…
紫耀
紫耀
おい、髙橋海人!!
海人
海人
な、なんですか?
紫耀
紫耀
俺のあなたに馴れ馴れしくすんな!

平野先輩は海人くんを指さした


ていうか…これってある意味

やきもち?

的な?

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