「俺酷いこと言っちゃった」
「俺も。まさか中田だったなんて。」
「ニノ辛かったよね。皆に敵に回されて。」
「おい、なんかこっち救急車来とる。」
「え、まじ?」
救急車の周りに集う人たち。
近付いて行ってみると頭から血を流してるおばあちゃん。
ニノじゃなくて良かった。
けど、彼は今どこで何してる?
「ニノー」
「にーのー」
「ニノー」
「にのみやー」
公園の近くに来る。
と、茂みの向こうでガサッという音がする。
「にのっ…」
右手で胸をぎゅっと掴んで、左手を地面につけてるニノ。
雨でびしょびしょの身体。
「ニノ、大丈夫か?」
「ハヒュッ…ごめっヒュ…ごめん、、、、でてく…ケホケホ…ヒュー」
単語でしか話せないニノ。
俺たちからゆっくりゆっくり離れていくニノ。
「ハアッハァッ…」
バランスを崩してその場に倒れる。
地面の水を飲んでしまいそうになる彼の身体を抱き起こす。
もう抵抗も何もしなくなった。
抱き上げた身体は鍋みたいにあっつくて長くは触れていられないような熱さ。
「救急車っ」
「おけ」
「ニノ、俺らのこと分かるか?」
「ヒナ、松潤達にも連絡して。。。連れて帰れないって。」
「お、おう。」
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。