第10話

第8話 …すき
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2019/06/29 18:11
とは思ったものの私のこの気持ちはどうなることもなく、あっという間に終礼の時間になった。





〜終礼〜





「もうテスト1週間前だー。自習が出来るように放課後教室を開けとくから、残りたいヤツは残って勉強するようにー。」





伊藤先生がみんなに呼びかけている。





「はい。じゃあ、立ってー。」





ガタガタ(椅子を引く音)





「さようならー(みんなで)」





ざわざわ話をしながらみんなが帰っていく。





「実緒ー?今日残って勉強出来るー?わかんないとこ一緒にしようよー。」





前の席の実緒に尋ねると、実緒は少し慌てた様子でこう答えた。





「ん、んーと。ごめん。今、今日はちょっとね…。」





「ちょっと…?何?笑笑」





「ちょっと無理なの…。また、話すから!ごめん!」





「へー。そっか。言えないんだー。じゃあもう良いよ。」





理由を教えてくれない実緒にちょっと腹が立ったから素っ気なく言った。





「ほんと…ごめん…。」






私の方を気にしながら実緒は帰って行
った。





私に言えないこととかあるなんて…ひどいよ!全く。





こうなったら一人で集中して勉強してやる!





私はやると決めたら曲げないタイプだ。





それからとても集中して一人で勉強をした。





〜数時間後〜





「…n崎…野崎!」





「うわぁっ!」





誰かに名前を呼ばれてたみたい!





集中し過ぎて気づかなかった…笑笑





「野崎集中し過ぎ…笑笑」





目の前には私の大好きなあの笑顔があった。





「伊藤先生…!あ、ごめんなさい気づかなくて…笑笑」





「ほんとにな笑笑
いくらなんでも10回呼んだら気づくだろフツー笑笑」





大好きな人が笑ってる…





なんだか嬉しくて顔がにやけてきた笑笑





「何笑ってんだよ笑笑
てかちょっと教室見に来たらお前だけでビビったわ笑笑他のやつらも見習わせないとな笑笑」





先生はそう言ってまた笑った。





うそ。また伊藤先生と二人っきりになれた。心臓が熱くなる。





「…てゆーかお前集中してるのは良いけど間違えまくりだぞ笑笑」





「え!うそ!どこですか⁉️」





「ここと、ここと、あとここも。笑笑
俺の教科だぞ!しっかりしろよ〜委員長笑笑」





「委員長は関係ないですー!笑笑
えぇ〜どうしよう…」





「ったく、しょーがねーな。今から俺の特別講座開いてやるよ笑笑貸してみ?」





先生はそう言って笑いながら手を差し出した。





あの大きな。包まれたらすっぽりはまってしまうくらい大きな、綺麗な手。





この世界中で1番私が大好きな手だ。





「じゃあ、お言葉に甘えて…。お願いします。」





私はそう言った。





そしてその手に私のシャーペンを握らせた。





「よし!じゃあ、この問題解いてみ。」





「はーい。…んーっと…」





「ここが大事なのわかる?…それから…そう!…」





先生の特別講座はあっという間に過ぎていく。





もういつ次また二人きりになれるのか分からない。





私の心の中のドラゴンが火を噴いて私に気持ちを伝えろと言ってくる。





でも、言ってしまったら…もうこれからこんな風に話せないかもしれない。





二人の自分が言い争いをしている。





「気持ちに気付いたんだから言うべきだよ!」






「いやいや、言ってどうなるわけでも無いじゃん!」





頭の中でガンガン言い争っていてうるさい。





どうしよう。どうしたら良いんだろう。





トントン(机を指で叩く音)





ハッ!





「野崎ー?聞いてるか?笑笑
ぼーっとするなよ〜せっかく俺が特別講座を開いてるのに…!」





「とりあえず、じゃあこの問題をt…」





「先生…!!!!!」





私は先生の声を遮って言った。





「なんだなんだ。大声出して笑笑
…ん?言ってみ?」





ぱっちりした目を私に向けた。





ずるい…そんな目で見るなんて…。















「先生あのね…私…




















先生のことが

























好きなんです…」






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